開発段階から死亡事故が相次いだ米軍機だ。今年の米報告書では構造上の欠陥も指摘されている。直ちに全てのオスプレイの飛行を停止して事故の原因究明を図るべきだ。 鹿児島県の屋久島沖で、米軍横田基地(東京都)所属のCV22オスプレイが墜落した。 米軍岩国基地(山口県)を経由し嘉手納基地に向かっていたところ、屋久島空港に目的地を変更したという。その途中に自衛隊のレーダーから消えた。 当時、周辺の気象条件に問題はなかった。オスプレイは航続距離が長く、特別の理由がなければ直前で目的地を変更することはほとんどないという。機体に何らかの不具合が生じたことが推測される。 周辺海域では機体の残骸が確認されており、墜落時の衝撃の強さがうかがえる。 空軍のCV22は地形追随装置などを装備し主に特殊作戦部隊の輸送に使われる。今回の乗組員は6人で、作戦訓練中だった可能性がある。 これまでに1人の死亡が確認された。国内のオスプレイ事故で死者が出たのは初めてだ。残る5人の救助を急いでほしい。 昨年カリフォルニアではMV22の乗員5人が死亡する墜落事故が発生。米海兵隊は原因が機体のクラッチの構造に起因するとの事故報告書を公表した。 クラッチについてはCV22でも不具合が判明し、今回墜落した機を含む横田所属の6機も一時運用を停止していた。訓練再開からわずか1年数カ月での重大事故である。極めて深刻な事態だ。■ ■ オスプレイを巡っては2016年に名護市安部沿岸の浅瀬に普天間所属のMV22が墜落した。 普天間には24機のMV22が配備されている。事故は夜間の空中給油訓練中、給油機のKC130からオスプレイに燃料を送るホースが切れ、機体に不具合が生じたことで起きた。 空軍のCV22と海兵隊のMV22の構造はほぼ同じだ。 極東最大の空軍基地である嘉手納基地にはCV22も頻繁に飛来している。今年1~9月までの防衛局目視調査による嘉手納基地の離着陸回数はCV22が103回。MV22も93回に上った。 嘉手納基地では今月、海軍のCMV22オスプレイ1機の緊急着陸も確認された。 県内では構造上の欠陥が疑われる機体が市街地上空を頻回に飛んでいるのだ。事故の再発を防ぐ対応策も見えず県民の不安は募るばかりだ。■ ■ 日米合同委員会は6月、オスプレイが日本国内でより低空飛行できるよう高度制限の緩和に合意。軍備強化が進む中、オスプレイの訓練区域は全国に広がっている。 今回の事故を受け、宮澤博行防衛副大臣は米側の説明として「不時着水」との認識を示した。 しかし、墜落直前には機体が背面飛行のような状態になり、火を噴き回転しながら落ちたとの目撃証言もある。国内で起きた重大事故であり、政府は主体的に調査に関わるべきだ。