「オニーサン、5千円でドウ?」とミニスカの男娼が…近隣住民は「腕を強引につかまれる」「駐車場でスルな」県議会でも話題、県警本部長は「対策を強化したい」〈ルポ若葉町〉

神奈川県横浜市の繁華街に位置する若葉町とその周辺で、売春などの目的で客引きを行う「男娼」の検挙数が増加している問題について、同県警の本部長は11月24日の県議会で「条例の一部改正も視野に入れて対策を強化したい」と述べた。この一帯では、昨年の秋ごろから売春の客引きを行う「立ちんぼ」のうち、「男娼」として金銭を得ようとする外国人男性が増えており、近隣住民からの苦情があとを絶たなかったという。そこで集英社オンラインは現地におもむき、その実態を調査した――。
今年5月から9月にかけて逮捕されたのは、タイ、フィリピン、ペルー国籍の27~53歳の男性5人。神奈川県警によると、この男性たちは横浜市若葉町とその周辺で売春の客引きをしており、「男娼」として金銭を得ようとしていたとみられる。そのうちの4人は観光ビザで入国し、近くのマンションやホテルに滞在しながら路上に立っていた。地元紙記者は、今回の逮捕の経緯についてこう語る。「もともと若葉町とその周辺は『立ちんぼ』が多く、2000年代ごろから路上で客引きを行なう『男娼』が増えてきた。さらに昨秋の新型コロナウイルスの水際対策の緩和によって外国人が訪日しやすくなった影響もあり、毎晩30~40人ほどの男娼が立っており、道ゆく男性に『遊ばない?』と声をかけたり、腕を引いて強引に客引きする姿も目立った。そういう経緯もあり、警察も警戒を強めていたのだろう」
伊勢佐木警察署(撮影/集英社オンライン)
「男娼」の増加にともない、神奈川県警は今年9月、若葉町とその周辺の路上にいた17人に”疑わしい行為”をしないように注意したという。その際にパスポートを確認したところ、売春の客引きを行なっていたと思わしき男娼は13人にのぼり、そのすべてがタイ人だった。実話誌ライターの男性は、ここまで「男娼」が増加した背景についてこう語る。「人気の理由は、コスパの高さにあります。すぐそばの横浜市曙町には日本最大規模のファッションヘルス街があり、風俗店が70~80店舗ほど立ち並んでいますが、そこで遊ぶには最低でも1万円ほどかかってしまう。その点、ここに立っている男娼は若くて容姿もよく、リップサービスは3~5千円、本番行為は1万~1万5千円ほど。『とにかく安く快感を得たい』という男性客に人気のようです」
過去に何度か「男娼」と遊んだことがあるという40代の男性は、最近の様子についてこう語る。「今年の9月から警察の取り締まりが厳しくなって、今ではひと晩にいても2、3人ほど。ほぼ壊滅状態って感じですね。それでも美形の子を見かけることもあるし、なかには人気モデルに似た容姿の子もいました。最近では遊ぶこともなくなりましたが、目が合うとウインクしてきたり、『アッソビー?(遊ばない?)』なんて聞いてくるので、ついつい足が向かいそうになります(笑)」男娼たちは寒い時期であっても、ミニスカートなどの体のラインが出やすい服を着用して、胸元を大きく露出しているのが特徴のひとつ。交渉がまとまると、それぞれが契約したのであろうアパートの一室に連れていかれて、そこでサービスを受けるという。「これが『ヤリ部屋』と呼ばれる場所ですね。なかには全室がそういう目的のために貸しだされているマンションもある。とはいえ、部屋をレンタルするごとに『使用料』が発生するみたいで、部屋を使いたがらない子(男娼)も多い。そのため、リップサービスなどは路上で済ませてしまうことも多く、近くの駐車場やアパートの踊り場で行為に及ぶことも珍しくありません」(同)
男娼が客を連れ込んでいたマンション(撮影/集英社オンライン)
そんな「男娼」たちを近隣住民はどう見ていたのか? 若葉町のとなり町に住む20代の男性はこう怒りをあらわにする。「そりゃ最悪ですよ。かれこれ末吉町には7、8年ほど住んでますけど、引っ越してきた当初はまさか『男の立ちんぼ』がいるなんて思いませんでした。彼らの近くを通ろうとすると、強引に腕を引っ張られることは日常茶飯事だし、過去には、腰まで手を回されて『オニーサン、アソボ?』なんて耳元でささやかれたこともあります」また、近隣のマンションに住む30代の男性は、過去に見た光景がトラウマに残っているという。「いま住んでいるマンションのとなりには大きな駐車場があるのですが、自室のベランダから見下ろせるので、何度かそこで”行為”に至ってる光景を見てしまって…。車の影にかくれてオジサンの下半身を舐めていたり、一番ヤバいときは、駐車場の隅っこで、後ろからシテました。まあ、ここら辺はそういう人が多いからと割り切ってはいるし、立ちんぼに腕を引かれるとかは大丈夫なんですけど、外で『ヤル』のだけは勘弁してほしいですよね」
記者が訪れたこの日も、夜の9時を回るころには、2人の「男娼」と思わしき立ちんぼがマンションの入口付近で客引きを行なっていた。どちらも一見、ホットパンツやスカートを穿いて女性に見えなくもない。しかし近づいてみると、骨格がガッチリしていたり、喉仏が突っ張っている。ポツンと路上に立ち尽くす”彼ら”の前を通りすぎたところで、「チッチッチッ」という舌打ちの音が聞こえたので、振り返ると手招きしている。さらには近寄ってきて耳元で「オニーサン、5千円でドウ?」とささやき、腕をガシッと掴まれてマンション内に連れていこうとするのだった――。
記者に声をかけて強引に腕をひっぱってきた男娼(撮影/集英社オンライン)
このような状況に、若葉町の町内会会長はなにを思うのか? 集英社オンラインの取材にこう答えた。「これでも最近は相当静かになりましたけど、若葉町といたしましても、若葉町地区防犯対策協議会を設置して警戒を強めています。月に一度、警察とパトロール活動も行なっていますし、今後もしっかりと対策していくつもりです」だが、その一方で住民からは「期待の声」よりも「落胆の声」の方が多かった。「9月に取り締まりが強化されて、今も警察の方たちがパトロールしてるので立ちんぼも減りましたけど、これも長くは続かないでしょう。過去にも何度かパトカーに連れていかれた立ちんぼを見たことありますが、その数か月後にはなに食わぬ顔して立ってましたから…。どうせ今回もそのパターンなのかなと思うと、ため息しか出ないですね」(20代男性)
関内駅(撮影/集英社オンライン)
「ここら一帯は昔から違法売春が行われていたからねぇ…。過去にも何度か立ちんぼが摘発されたこともあったけど、すぐに戻ってくるというイタチごっこのような状態が何十年も続いている。警察も相当本腰を入れないと難しいだろうね」(60代男性)県警は今度こそ住民の期待に応えることができるのか…。※「集英社オンライン」では、今回の事件について、情報を募集しています。下記のメールアドレスかX(Twitter)まで情報をお寄せ下さい。メールアドレス:[email protected](Twitter)@shuon_news取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班