歌舞伎町「朝ホスどうですか」で逮捕…悪質ホストを裏で操る反社と“沼落ち”の実態

「お姉さん、今から朝ホスどうですか」
東京・新宿区歌舞伎町の路上で違法に客引きした女性をホストクラブに入店させたとして、ホストの大川能亜(24)、鈴木健太(36)両容疑者が先月29日、東京都ぼったくり条例違反(客引き行為を用いた営業禁止)の疑いで警視庁保安課に逮捕された。
大川容疑者と鈴木容疑者は29日午前9時過ぎ、客引きの男2人から紹介された女性が違法行為によるものと知りながら、それぞれの店に入店させた。客引きの男2人も公共の場で女性に付きまとって客引きをしたとして、都迷惑防止条例違反の疑いで現行犯逮捕。2つのホストクラブは、午前と午後の2部制で営業していた。
調べに対し、大川容疑者は「客引きの受け入れはいけないと分かっていたが、売り上げを上げるために受け入れた」と供述している。
ホストクラブを巡っては高額な売掛金を返済するため、女性客が売春を強いられるなど、社会問題化。元凶となった悪質ホストが次々、留置場へブチ込まれている。
27日には警察庁の露木康浩長官が歌舞伎町を査察したが、警察庁長官らが繁華街まで出向くのは異例のこと。背景には闇バイトなどを使って離合集散しながら、特殊詐欺や強盗事件を繰り返す「匿名・流動型犯罪グループ(準暴力団)」の存在がある。警察当局は、悪質ホストクラブの背後でもこうした犯罪グループが暗躍し、不当に利益を得ているとみて捜査体制を強化している。
■寄ってたかってしゃぶり尽くす
歌舞伎町には、国内最大の風俗スカウトグループがある。年商50億円を誇り、所属スカウトマン1500人を擁する一大グループのケツ持ちは暴力団だ。
ホストとスカウトの結びつきは極めて強固で、持ちつ持たれつの関係にある。これまでは未払い金のある女性客を、ホストが風俗に沈めて回収するのがお決まりだったが、最近では売掛金の回収そのものを、スカウトに依頼するケースが増えている。
「スカウトは女性客の職場を知っているので、飛ばれるリスクも減り、売掛金を確実に回収できます。女性客がキャバクラ、ヘルス、ソープと店を替えるたびに、スカウトからホストにキックバックがある。スカウトにしてもホストから紹介してもらえば、街中で声を掛ける必要もなくなり、勤務先が変われば、風俗店からスカウトにマージンが入ってきます。ホストとスカウトがグルになって、女性客に店を転々とさせるわけです。
2人にはその都度、何もしなくても手数料が入ってくる。闇カジノに通ったり、違法ドラッグを常習するホストやスカウトも多く、ホスト狂いの女性客はそこでも食い物にされ、それも犯罪グループの貴重な収入源になる。そのカネを風俗業など、別の事業に回し、さらに収益を上げる仕組みです」(歌舞伎町関係者)
ひとたび「沼」にハマると、骨の髄までしゃぶり尽くされることになる。