老舗道具店「目的別に選んで!」 自分にピッタリの『フライパンの選び方』とは?

食事を作るのに欠かせない調理道具であるフライパン。日々使うフライパンが自分に合ったものなのかはとても重要でしょう。
そこで、1908年創業の老舗料理道具店『釜浅商店』に、フライパンの選び方について取材しました。
『釜浅商店』の齋藤あゆみさんの話によると、まずは目的別にサイズを選ぶのがいいそうです。
初めてフライパンを買うのか、買い替えなのか、また2枚目のフライパンがほしいのかなど、目的別にどんなフライパンをお勧めするのかは違ってきます。
例えば、お子さんがいて家族の人数が多い場合にはやはりサイズの大きめのフライパンがいいでしょう。その場合は26~30cmサイズのフライパンがあります。
また、目玉焼きを1人分作りたい、朝食作りといった用途でしたら、小さいサイズ、18cmといったものでもいいかもしれません。
『釜浅商店』の齋藤あゆみさん
齋藤さんの話のとおり、フライパンといってもサイズはいろいろ。
10cm台の小さなフライパンもありますし、あまり食べない、1人暮らしで料理の回数の少ないといった場合には22~24cmという小ぶりなサイズでも十分でしょう。
ただ、大は小を兼ねるともいいますし、時には大きなサイズのステーキを焼く、焼きそばを2人前作る、などの用途が考えられるなら24~26cmのサイズのフライパンを選ぶのもおすすめです。
家族の分をたくさん作るという人なら28cmオーバーのフライパンもあります。
選ぶべきフライパンのサイズは目的やその人のライフスタイルなどによって異なるでしょう。
次は材質にも注目してみましょう。材質は主に鉄製、テフロンなどのフッ素樹脂加工、アルミ製に分けられます。それぞれ以下のような特徴があります。
鉄製のフライパンは蓄熱性が高いのが特徴。ただし、サビが発生する可能性が高いので、使用後は汚れをよく落として保管することが重要です。
使用する前には『油ならし』をして、よく油になじませます。齋藤さんによれば「鉄のフライパンは使うほどに油になじんで、それこそ一生物として使えます」とのこと。
『油ならし』とは、鉄の表面に油の膜を作って食材が焦げ付かないようにするためのもの。
鉄のフライパンを実際に使用する前には、この作業を行います。フライパンをコンロにかけて火をつけ、多めの油を入れて、くず野菜を実際に炒めて鍋肌まで油を染み込ませます。
齋藤さんによれば「鉄のフライパンの場合には、洗う時に洗剤を使わないほうがいい」そうです。理由はせっかくなじんだ油が抜けてしまうからです。
鉄のフライパンの手入れでは、たわしなどで汚れを落としたら、数秒火にかけて水気を蒸発させてください。
一般に『テフロン』といわれるのがこのタイプ。鉄や合金製の地にフッ素樹脂でコーティングしたフライパンです。
フッ素樹脂を層状に重ねることで、食材が焦げ付きにくく、汚れが落としやすくなっています。お手入れもしやすいので扱いやすいフライパンです。
齋藤さんによれば「フッ素加工は劣化していくので、買い替えるタイミングをよく見極めて使ってください」とのことです。
アルミニウムは熱伝導率が高く、しかも軽い物質です。アルミのフライパンは、とても軽く、力のない人でも扱いやすいのが特徴です。
熱伝導がよく、すぐに温まるのもメリットで、深めのフライパンならお湯を沸かすのにも使えます。パスタを作るのに向いていますが、肉などを焼く場合はくっつきやすく使いにくいです。
齋藤さんによれば「IH調理器具では使えないので注意してください」とのこと。
齋藤さんに購入時の注意をうかがったところ、「IHと蓋の2点に注意しましょう」といいます。
IH調理器具で使用することがある場合には、対応しているかどうかに注意してください。アルミのフライパンは熱伝導性に優れていますが、IH調理器具では使えません。
フライパンを購入する際には『IH調理器具OK』などの表示を必ず確認しましょう。もし表示がなければ、売り場で店員に確認してください。
また、忘れがちなのが蓋です。
「あっ、蓋を買ってなかった!」と後で思い出すのは、フライパン購入あるあるでしょう。後になって、サイズだけ見て購入しても合わないなんてことが起こりがち。
サイズが合っていても、持ち手の部分のデザインによって合わないこともあります。購入時に売り場でぴったり合う蓋かどうかを確認するのがベストです。
最後に、齋藤さんにフライパン選びで大切なことを教えてもらいました。
生活スタイルや家族構成などを考えて、ご自身に合うものを選ぶのが一番です。
その上で、選んだフライパンをお手入れしながら長く使ってくださると嬉しいです。
『釜浅商店』にフライパンを買いに来る人は、サイズ選びで悩む人や、26cm前後のサイズのフライパンを購入する人が多いとのこと。
齋藤さんのアドバイスにあるように、できるだけ自分に合った使いやすいものを選び、できるだけ長くフライパンを使えるよう、日々のお手入れを怠らないでくださいね。
[文/高橋モータース@dcp・構成/grape編集部]