シャンシャンだけじゃない…16頭のパパ・30歳のレジェンドパンダ永明は22日に子どもらと中国返還

21日に中国に返還される上野動物園のジャイアントパンダ、シャンシャン(雌、5歳)が19日、最終観覧日を迎えた。最高倍率70倍(2600人当選)を通り抜けた来園者は、思い思いに「会えてよかったよ」「元気でね」などと声をかけ、最後のひとときをかみしめた。シャンシャンだけでなく22日には、和歌山・アドベンチャーワールドの「スーパーパパ」こと永明(エイメイ、30歳、雄)、永明の子である桜浜(オウヒン、雌、8歳)、桃浜(トウヒン、雌、8歳)が中国へ返還される。
人間でいえば90歳になる永明は、1992年に中国・北京動物園で生まれ、94年にパンダでは世界初となる中国との共同繁殖研究のため来日した。2頭の雌、良浜(ラウヒン、22歳)と2008年に死んだ梅梅(メイメイ)との間に計16頭の子をもうけた日本パンダ界のレジェンドだ。
同施設の「明浜」と「優浜」の名付け親で、パンダライターの二木繁美氏(47)は「もともとパンダの繁殖は人工授精が多かったんですが、永明は雌のタイミングに合わせるのがうまくて、自然繁殖ができるパンダでした。飼育下で自然交配し、繁殖した世界最高齢のパンダという記録も持っています」と説明した。
高齢なだけに「ずっと日本に居てくれるだろうと思っていたので、まさか帰るとは」と突然の帰国に驚いたという。「永明さんは誕生日に像ができたり、本当に安心感がすごくあって愛されていた。東京から開園前に駆けつけ、必ず月1回来る人もいたみたいです」と明かした。
21日には、永明など3頭のお別れセレモニーが行われる。その後、四川省にある成都ジャイアントパンダ繁殖研究基地へ行く予定。13頭いた日本のパンダは、返還後、計9頭になる。
今後、新たなパンダが来る可能性があるのか。二木氏は「和歌山が新しいパンダを希望されているので、時期は未定ですが、まずは和歌山に来る可能性が高いのではないでしょうか」と推測した。(坂口 愛澄)