豪華な返礼品などがたびたび話題になる「ふるさと納税」ですが、三重県四日市市では流出額が寄付金を大きく上回り、2021年度の赤字額はおよそ8億円に上りました。収支改善のため、市は「救世主」を募集しました。 19日の四日市市役所。日曜日にもかかわらず、次々とスーツ姿の男性たちが入っていきます。行われていたのは、市のふるさと納税の改革を担当する「戦略プロデューサー」の選考面接です。
森四日市市長(2022年12月):「四日市のふるさと納税は非常に厳しい状況にありますけれども、この状況を打破してもらえる、本当に四日市のために働いてもらえる優秀な方を四日市はお待ちしております」 自分の好きな自治体に寄付し、返礼品が受け取れる「ふるさと納税」。
四日市市では2021年度、市民が他の自治体に寄付したことで流出した額がおよそ8億5000万円に上りました。 流入分の寄付金およそ5000万円を差し引いた赤字額は8億円です。この金額は、市内に37ある小学校の給食費1年分に相当するといいます。 現在の返礼品について、見せてもらいました。四日市市・広報マーケティング課長:「四日市といえば萬古焼(ばんこやき)、手延べそうめん、伊勢茶。ザ・四日市という定番商品ですね」
他にも、地元の特産品や工場夜景を楽しむクルーズ船体験など、800点以上を揃えています。
なかなかのラインナップですが、市民からは名物が「弱い」のではとの声が聞かれました。四日市市民:「名物っていうのがあんまりピンとこないんじゃないかなと思います。(Q.四日市が誇る名物は?)えー何ですかね…。多分『なが餅』とかそれぐらいじゃないですか」別の四日市市民:「魅力あるものがないのかなって」 出張で北海道から来ていたサラリーマンに聞きました。北海道の男性:「正直北海道とかにいると、四日市といっても何があるのかあんまりピンときていないというところが大きいかもしれないですね。(Q.四日市といえば?)コンビナート」四日市市・広報マーケティング課長:「なかなか全国的に認知という意味で行き届いていないのかなと。しかしながら、この制度の中で四日市も戦っていかなきゃいけない」 そこで今回、市が「救世主」にと考えているのが、返礼品などの「魅力発信」の戦略を考えるプロデューサーです。民間企業などで営業や企画の経験が20年以上あることを条件に募ったところ、全国から147人のエントリーがあったといいます。
四日市市・広報マーケティング課長:「本来の公務員の仕事という枠を超えて四日市をプロデュースする。専門のスキル・ノウハウ・お知恵を借りるということですので、最大限の待遇ということで1000万円の待遇でお迎えしようと」 報酬額は年間1000万円。最大5年までの延長もあり、市の本気度と期待の大きさが伺えます。
どんな人が受けに来たのか。書類選考を通過し面接に臨んだ12人のうち、顔を出さないことを条件に、3人から話を聞くことができました。57歳男性:「今の会社の初任地が四日市だったんですね」 1人は営業歴35年という57歳の男性です。57歳男性:「ここで出会って奥さんももらいましたし、人生の最後に四日市でいろいろお手伝いができると」 もう1人は大手IT企業で部長を務めた50代の男性です。50代男性:「オリパラの時も全国のホストタウンみたいな所とやりとりをしていました。そうした人脈を生かした感じでやっていければなと思っています」 次のような経験を持つ人もいました。別の50代男性:「工場夜景が流行る前から、川崎市さんと一緒にずっと歩んできておりまして。さらに今度は四日市で広げられるんじゃないかと」 果たして、四日市のふるさと納税を救う「救世主」は見つかるのか。合格者は2月末に決定します。