中国の練習機が披露した「空中激レア技」にブラボー!! ブルーインパルスもやらない芸当…どうやった?

ドバイ航空ショーで、中国の高等練習機「L-15」が展示され、デモ飛行も行われました。ここでは、日本のブルーインパルスなど各国のアクロバットチームも真似しないような、1機で2色のスモークを引く妙技を披露しました。
中国の航空機は、国外の航空ショーでも、あまり出てきません。アクロバットチーム「八一飛行表演隊」が飛ぶことはあっても、ほかの機体が出展されることはほとんどない状況。しかし、2023年11月に行われたドバイ航空ショーで、高等練習機「L-15」が地上展示されたほか、デモ飛行も実施されるという珍しい機会になりました。
ここでは、日本のブルーインパルスをはじめ各国のアクロバットチームも真似しないような、とある“珍しいワザ”が披露されています。どのようにしてそのワザを実施したのでしょうか。
中国の練習機が披露した「空中激レア技」にブラボー!! ブルー…の画像はこちら >>ドバイ航空ショーでデモ飛行する高等練習機「L-15」(相良静造撮影)。
L-15は2006年に初飛行し、ジェット機の操縦に慣れた訓練生がより高度な技術を学ぶ高等練習機に分類されています。設計の協力をロシアから得たために、ヤコブレフYak-130に似た外見を持っています。
L-15がドバイ航空ショーに出展された目的は、2022年にUAE(アラブ首長国連邦)空軍のアクロバットチーム、「アル・フルサン」が使う伊・アエルマッキ「MB339NAT」の後継機にこの機が選ばれ、今回、調達契約の最終確認がなされたためとみられています。
そのようなL-15ですが、ドバイ航空ショーのデモ飛行で、珍しいワザを披露します。それは、1機で2色のスモークを引く――というものです。
航空自衛隊のブルーインパルスをはじめとする各国のアクロバットチームによるデモ飛行では、全体で見ると複数色のスモークが引かれていたとしても、編隊各機が引くスモークは1機で1色が一般的です。先述の八一飛行表演隊によるデモ飛行も、1機の引くスモークは1色でした。
これに対して、L-15は1機で赤色、そして黒色に近い濃い紫色を引いたのです。筆者は、離陸時と上空で旋回時にスモークの色が変わったのに驚き、どこで色が切り替わるのか目を離せなくなりました。
スモークの本数だけで見れば、他の機体のデモ飛行でも、主翼の端に発生装置を付けることにより、2本の線が引かれるケースはあります。しかし、その色はどちらも白色であること一般的です。
1機で2色のカラースモークを引く、ユニークなL-15のデモ飛行。その姿を目を凝らして見ると、2基あるエンジンの排気口に、それぞれスモーク用オイルの噴出ノズルを装着していることが確認できました。L-15はエンジンを2発搭載した「双発機」。この“妙技”は、そうした機体設計だからできる技であることが分かりました。
Large 02
アル・フルサンの現在の使用機アエルマッキ「MB-339」(相良静造撮影)。
低速では2色が混じってしまう場面もあったものの、L-15の“1機2役”は仕組みこそシンプルなものの、各国のアクロバットチームと引けを取らないものでした。なお、このデモ飛行は、編隊ではなく1機のみで実施されました。編隊では空がスモークだらけになってしまいますので、今回の妙技は、1機のデモ飛行に合うのでしょう。
ちなみに今回展示されたL-15の塗装は、黒色に黄色を配して赤色も使った、かなり派手なものでした。なお、UAE空軍のアクロバットチーム「アル・フルサン」の現行機MB339NATは黒色と金色を基調としています。
そこで、機体の傍らにいたCATIC(中国航空技術輸出入総公司)の社員に、今回展示されたL-15の派手なデザインが、「アル・フルサン」の新塗装になるのかを尋ねたところ、「ショーでの特別塗装」とのこと。2色のスモークも今回の塗装も「アル・フルサン」が正式に採用する見込みはなさそうです。
とはいえ、1機のみのデモ飛行では2色のスモークは人目を引きます。今後、各国の航空ショーで広まるかもしれません。