【プチ鹿島の本音】「撤回」してもダメ

知っている内幕を自慢したら反響が大きすぎた。だから慌てて「撤回」した。しかし、その振る舞いによって最初の言葉の信ぴょう性が高くなってしまった。あ、馳浩氏のことです。
そして遂にはこうなった。「五輪招致巡る発言撤回、馳浩知事は一転『文科省からの指摘なかった』『私自身の判断』」(読売新聞オンライン12月2日)。
石川県の馳知事が東京五輪招致活動で国際オリンピック委員会(IOC)委員に官房機密費を使って贈答品を渡したと発言して「撤回」した件。撤回は文部科学省からの指摘があったためとしていたが、今回「指摘はなかった」と訂正した。つまりウソをついていたことになる。みっともない。
当時、馳氏は五輪の招致推進本部長だった。だから私は東京の講演での発言はその通りなのだろうと思った。失言とかバカ正直というより自分の力を誇示したかったのだろうと。馳氏は「メモを取らないで」「外で言ったら駄目」と言ったというが、地元ではマスコミ相手にやりたい放題でも「外」ではそんな手法が通じるわけがない。さらに政治家として馳氏が最も間違えたと思うのは撤回すれば不問になるだろうと考えたことだ。
だが、五輪買収疑惑を不問にするかどうかは私たちが決めることだ。税金だって投入されたわけだし、主権者は我々だ。政治家は私たちの代理人として「議論と説明」をする。それができないなら辞めたらいい。
それにしても撤回という言葉をよく聞く。自民党安倍派の塩谷座長は、派閥のパーティー券をノルマ以上に売った議員に売り上げを還流させるキックバックの慣習があったとの疑惑について、「あった」と言った後に「撤回したい」と述べた。この慌てぶり。馳浩氏と共同会見を開いたらどうでしょう。良いパーティーになるはずだ。
(時事芸人・プチ鹿島)