ヤマハ発動機、タンザニアでラストマイルデリバリー事業会社をスタート – モビリティを活用した雇用創出の取り組みを拡大

ヤマハ発動機のグループ会社「CourieMate(クーリメイト)」は、アフリカ東部タンザニアにおいてラストマイルデリバリー事業を行う新会社「CourieMate Tanzania」を設立し、稼働をスタートしたことを12月12日に発表した。同社では、タンザニアにおける物流の高効率化や雇用創出への貢献を目指していくという。

ヤマハ発動機は、2022年発表の中期経営計画(2022~2024年)において、新規事業と成長事業を戦略事業領域と位置づけ、将来のコア事業として育てるための経営資源を積極的に配分するポートフォリオマネジメントを進めている。

同社の新規事業のひとつであるモビリティサービスビジネスでは、雇用機会不足などの社会課題に対して、二輪車事業の知見を活かしたサービスの提供を通じ、人々の暮らしが豊かになる環境づくりを推進。経済的に厳しい状況にある人に対して、モビリティ獲得の障壁を下げるアセットマネジメント事業や獲得したモビリティを使って収入を得るための仕事を生み出すラストマイルデリバリー事業を行うことで、地域経済の活性化や職業ドライバーの雇用創出を目指している。

アフリカ東部でラストマイルデリバリー事業を行うヤマハ発動機のグループ会社・CourieMateは、2017年からウガンダで事業を展開し、ラストマイルデリバリーサービスに必要なノウハウやITシステムの知見を蓄積している。2023年1月からは、より大きな市場潜在力があるタンザニアでの事業展開を見据えた実証実験を開始。ウガンダで構築した事業モデルがタンザニア市場でも機能することが確認できたこと、ならびに現地の宅配需要を十分見込めたことから2023年7月には新会社を設立した。

タンザニアをはじめとするアフリカ各国では、消費者がECで購買した商品の配達ニーズが高まる一方で、高効率な物流システムが十分に普及していない状況だ。その理由として、住所情報の不足、基本は代引きであること、信頼性のある手頃な価格な配達サービスがないことや、配達物の遅延、商品の損傷などが挙げられる。

そのような課題を受け、CourieMateは、二輪車など機動力のあるモビリティ、配送物の常時トラッキング機能や宅配専用アプリといったオペレーションを支えるITシステムなどの活用により、より信頼性が高く高効率なラストマイル物流を実現する。また、ECサイト運営による宅配需要の喚起や職業ドライバーの雇用創出を通じ、地域の社会課題解決と経済成長にも貢献していく。

今回、同情報のリリースに併せてメディア向けの説明会も開催、CourieMate Tanzania 代表取締役 松本弘氏(ヤマハ発動機より出向)がウガンダ、タンザニアでの取り組みについて説明を行った。現状、ウガンダでは20台、タンザニアでは10台を稼働しており、今後は倍にしていく見込み。新たにスタートしたタンザニアでの事業はウガンダ事業からの既存顧客の誘因に成功、また地方配送ネットワークは各地方各地域のエージェントと連携してデリバリー網を構築、最適解を模索している状況だという。

タンザニアでの展開は始まったばかりだが、「モビリティユーザーの雇用を下支える産業として、デリバリー事業を作り上げていきたい」と松本氏は同事業の成長に期待を寄せた。