「新NISA」私もやるべきですか? 第6回 「新NISA」お金に余裕がなくてもやるべきですか?

2024年に導入が迫る「新NISA(ニーサ)」。「話題になっているけど正直よくわからない」超初心者の疑問に答えます。回答してくれたのは、ファイナンシャルプランナーの丸山晴美さんです。

## Q. お金に余裕はないんだけどそれでも「新NISA」やるべきですか?

回答としては、無理をしてまで投資をする必要はありません。第5回でも解説していますが、キャッシングやリボ払いなど、金利が高い借り入れをしていたり、家電などが壊れてしまったり毎月の収入では対応できない急な出費に備えるための貯蓄がない人は、まずはキャッシングやリボ払いを優先的に返済しつつ、急な出費にも対応できるお金を最低でも50万円は貯めたら、少額からでも積み立て投資を始めるとよいでしょう。もちろん、元本が減るリスクが低い預貯金の残高が100万円を超えたら、投資へまわすお金を増やすなど、バランスを考えながら資産形成をすることも大切です。
そもそも投資をする意味とは

長引く低金利時代、預貯金で運用をしていても、元本が減るリスクはありませんが、増えにくいのが現状です。 投資なら預貯金よりも増える可能性が高くなります。また、インフレに備えられるというメリットもあります。 お金を預貯金も含めて現金のまま保有していれば、物価が上昇した際に現金の価値が下がってしまい、今まで100円で買えていたものが150円ださないと買えなくなってしまう状態です。現金の一部を値動きのある株式や債券、投資信託などの金融商品に換えて保有することにより、財産価値の目減りを防ぐことができます。今後インフレがさらに進む可能性があるなら、現預金だけではなく投資も加えて資産運用をする必要があるのです。
投資にまとまったお金は不要

投資=最低100万円からや、投資をするにはある程度まとまったお金が必要だと考えて、二の足を踏んでいませんか? 今は100円から投資信託が買えたり、ポイ活で貯めたポイントでも投資をすることができる時代です。そう考えると、投資のハードルはそれほど高くはないと言えるでしょう。NISA口座を開設して、貯めたポイントは、100ポイント単位で投資信託を購入や積み立てをしたり、やりくりをしたお金を100円単位で投資信託をスポット(好きなタイミング)で購入することもできます。

「新NISA」口座のつみたて投資枠の対象商品は、現行のつみたてNISAの投資信託と同じもので、「長期・積立・分散」投資に適した一定の投資信託です。投資ですので、元本が減るリスクはありますが、増える可能性もあります。手元にある程度の現金は必要ですが、これからは投資も併用して資産運用をするために、「新NISA」口座を活用することが大切になるでしょう。
投資のお金を捻出する方法

ポイ活をしてポイント投資をする…100ポイントから投資信託が買えます
つもり貯金ならぬつもり投資…買ったつもりで浮いたお金を投資に回す
固定費の見直しをして浮いた分を投資へまわす…例えばサブスクを解約して毎月1000円積み立て投資へ
強制的に積み立てる…悩んでいる時間がもったいないのでとりあえず1万円投資にして後はほったらかしにする

など、意識を投資へ向けることで、何かしらの形でお金を捻出することができるはずです。意識が変われば資産運用の方法も変わります。生活に必要なお金は確保しつつ、やりくりで浮いたお金は投資へ回す仕組みを作るだけです。今は、スマートフォンのアプリで投資ができますので、積立額や金融商品の設定も簡単にできます。
NISA口座を使って強制的に積み立てる

新NISA口座にはつみたて投資枠があり、年間投資ができる金額は、「つみたて投資枠」は120万円、成長投資枠は240万円の合計360万円トータル1800万円。成長投資枠のみの利用は1200万円になります。投資と言えば株式投資というイメージがありますが、新NISAは1800万円の総枠を全て投資信託で積み立てることもできます。つみたて投資枠の対象商品は、つみたて投資枠だけではなく、成長投資枠で毎月積み立て投資をすることもできます。出費の見直しをして、無理のない金額を毎月定額するころで、気づけばまとまった金額になるでしょう。
金融庁の資産運用シミュレーションを使って資産運用を考えてみよう

金融庁のHPには、毎月の積立金額と想定利回り(年率)積立期間を入力すると最終積立金額とグラフ、アドバイスを見ることができますので、将来を考えながらシミュレーションをしてみてはいかがでしょうか。

全部お任せできるNISA口座を使ったロボアド投資も一案

ロボアドとはロボット・アドバイザーを略した言葉で、金融のプロが開発したアルゴリズムによって投資家の資産状況や希望などに合わせた投資信託を診断し、プロの視点で適切な資産運用のアドバイスを受けられ、分散投資のポートフォリオを組んで運用やリバランス(資産の再配分)も行ってくれます。アドバイス型と投資一任型がありますが、アドバイス型はアドバイスに従って自分で資産運用をします。投資一任型は自動的に資産運用をしてくれます。さまざまな証券会社がロボアド投資の取り扱いをしていますが、NISA口座を使ったロボアド投資は「Wealth Navi」(ウェルスナビ)の「おまかせNISA」が人気です。リスク許容度を決めて、あとは毎月定額を入金するだけであとは全自動で資産運用をしてくれるというものです。新NISAにも対応しており、最低投資額は1万円からですので、1万円以上強制的に積み立てができて、銘柄選びなど面倒なことは考えたくない人におすすめできるサービスと言えるでしょう。

お金に余裕がないからと、投資を避けてしまうのは将来的なインフレリスクに備えることができなくなってしまう可能性があります。預貯金と併用しつつ、日々の出費を見直して浮いたお金を少額からでもNISA口座で「長期・積立・分散」投資をすることをおすすめします。

丸山晴美 外国語の専門学校を卒業後、旅行会社、フリーター、会社員、コンビニ店長へと転職。22歳で節約に目覚め、年収が350万円に満たないころ、1年で200万円を貯める。26歳でマンションを購入。2001年に節約アドバイザーとして独立。ファイナンシャルプランナー、消費生活アドバイザーの資格を取得し、お金の管理、運用のアドバイスなどを手掛け、TV、雑誌などで幅広く活躍している この著者の記事一覧はこちら