民謡「江差追分」の歌い手、山本恵美さん…全国大会優勝してもなお稽古に邁進

民謡「江差追分」の歌い手日本一を決める第59回江差追分全国大会が9月に江差町で行われ、札幌市白石区の会社員・山本恵美さん(31)が優勝を果たした。全国各地を勝ち抜いた164人による予選会を通過し、50人が残った決選会。48番目に歌った山本さんは深みのある歌声で、4年ぶり有観客の会場を魅了した。
23歳から毎年挑み(2020、21年はコロナで中止)、これまでは16年の5位が最高。今回で7度目となった挑戦に「歌い終えた瞬間、今までで一番満足のいく歌が歌えた」。納得の出来栄えで念願の栄冠をつかんだ。
普段は札幌市内の広告代理店に勤め、営業を担当。テレビ番組「歌唱王」や「THE カラオケ★バトル」にも出演した経歴もある。主婦でもあり、通勤時はイヤホンで江差追分を聞き込み、退勤後は師匠の久保田隆洲先生(80)のもとで稽古しつつ、ジムでバイクや筋トレにも励み、腹筋や背筋も強化。会社からの後押しも受け、栄冠を目指してきた。
優勝者は翌年大会で、前唄・本唄・後唄の3部構成となっている江差追分をまとめて歌う『一本通し』を披露するのが通例だ。「自信を持って歌えるようになりたい。優勝後の方が稽古量は増えている」とどこまでもストイックだ。今後は区民センターでのミニコンサートや、祭りや授業、ホテルなどで、子供たちや若者、海外からの観光客などへ、これまで以上に民謡の普及活動にも努める。
「優勝者として、歴史ある江差追分を、民謡を、少しでも世間に広められたら」。会社員と歌い手の“二刀流”は、飽くなきチャレンジを続ける。