カーシェアリングの「エニカ」が「エニカ カーシェア・オブ・ザ・イヤー2023」を発表した。部門別にカーシェア人気の高かったクルマを選出しているのだが、気になるのは「Z世代部門」で第1位に輝いたあのホンダ車。BMW「Z4」などを押さえての快挙だが、人気の理由は? エニカ運営会社の代表取締役社長に話を聞いてきた。
エニカってどんなカーシェア?
「エニカ」(Anyca)はDeNA SOMPO Mobilityが運営するカーシェアリングサービス。主軸は個人が登録したクルマを個人が使うCtoCのカーシェアだが、ディーラーが登録した試乗車に乗れたり、エニカが所有するクルマをレンタカー感覚で使ったりもできる(BtoCのカーシェアもある)のが特徴だ。累計登録台数は4.4万台超、会員数は84万人超(過去3年で約2倍)と規模は拡大中。古今東西の幅広い車種に乗れるのが個人間カーシェアも展開するエニカの強みで、取り扱うクルマは1,300車種を超えているという。
所有しているクルマをエニカに登録しておけば利用料金が入ってくるので、月々の維持費や駐車場代などに充当すれば「安くクルマを持てる」ことにもなる。DeNA SOMPO Mobility代表取締役社長の馬場光さんによれば、東京都内であればどんなクルマでも月々3万円くらいの収入にはなるそうだ。
エニカで人気のクルマは?
そんなエニカが「エニカ カーシェア・オブ・ザ・イヤー2023」なるものを発表した。まずは結果を見てみよう。
例えば、個人間部門でアウディ「A5カブリオレ」が第1位なのは納得できる。クルマを持っている人もそうでない人も、せっかくカーシェアで乗るならスポーティーなオープンカーを選びたいという気持ちは理解できるからだ。買うのに勇気のいるクルマは借りて乗るのが一番だと思う。
Z世代に人気のクルマは?
よくわからないのは、Z世代部門でホンダ「シビック」が第1位になっていること。実際に乗ったこともあるので間違いなくいいクルマだと言い切れるのだが、BMWのオープンカー「Z4」やメルセデス・ベンツの超高級車「Sクラス」などを押さえてZ世代に最も選ばれる1台となっているのはけっこうスゴい。
タイプRに若者が憧れている?
馬場さんもシビックが1位になった理由については「正直、まだわかりきってはいないんですが……」という感じ。「(現行型シビックが登場した2021年にホンダが実施した)若年層向けのプロモーションが強かったのかも」との分析も聞かせてくれた。利用者のコメントには「マニュアル車(MT)に乗りたかった」というのがあったという。
馬場さんの話を聞いて思い出した。現行型シビックは確かに、若者に人気のモデルだったのだ。古いデータだが、発売後3カ月が経過したあたりでホンダに聞いたところによると、購入者の年齢層で最も多いのは20代(約24%)との話だった。
それでも「なんでシビック?」とこだわり続けていると、エニカのスタッフさんが補足情報を教えてくれた。それによると、
最も人気のあるシビックは1999年式
ランキング上位はシビック「タイプR」が占めている(YouTubeでも話題になっていたとか)
シビックがよく利用されている場所は埼玉県の坂戸市、岐阜県、東京都八王子など
とのことだ。
今回の結果を受けて馬場さんは、「若者のクルマ離れといわれていて、それは『所有』の面ではあるかもしれないのですが、クルマに乗ってみたいという『愛情』は、今でも変わらずにあるのではないでしょうか」と話していた。いろいろ考えるとクルマを買うことはできないけれど、クルマに乗ること(運転すること)自体は好きだし、走って楽しいクルマが好みという若者がけっこういる、ということなのかもしれない。