商店街にどうすれば人が呼べるのか?“謎解き”で盛り上がった岐阜の柳ヶ瀬幻まつり “シャッター通り”再生なるか【チャント!密着】

岐阜県岐阜市にある柳ヶ瀬商店街は、往時のにぎわいとはほど遠い閑散とした人通り。全国にある多くの商店街と同様、シャッター通りとなっているのが現状です。商店街に賑わいを取り戻そうと奮闘する男性が開催したのが「幻まつり」。開催までの経緯と、祭りの様子に密着しました。
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2023年11月3日に柳ヶ瀬商店街で「幻まつり」が開催され、多くの人が集まりましたがこの賑わいは、祭りの名前の通りこの街にとっては「まぼろし」。普段は、人の姿はほとんどありません。今は必要とされない街に、どうしたら人を呼べるのか頭を悩ませる男性がいます。愛知県愛西市の美容師、平田研二さんです。
(平田研二さん)「(昔とは)全然違いますね。本当に(人で)いっぱいだったからね。歩けないくらいだった」
今は愛知県に住んでいる平田さんですが、元は岐阜市出身。子どもの頃は、この商店街が遊び場でした。
(平田研二さん)「めちゃめちゃ人がいて、映画館の中も立ち見オッケーだった」
柳ヶ瀬はその昔、岐阜の繊維業界の急成長と共に発展。繊維問屋や飲食店がぎっしり立ち並び、人で賑わいました。街の名前が付いた歌も大ヒット。柳ヶ瀬の名は、全国に知れ渡りました。しかし、繊維業の衰退や郊外への商業施設の出店で、みるみるうちに賑わいは失われ、閉じられたままのシャッターが増えていきました。店舗それぞれに地権者がいて、店を閉めてもそのまま倉庫などに使っている人も多く、再開発や活性化が難しい実情も。
ゆるキャラやお化け屋敷などのイベントを開催したり、35階建ての高層マンションを建てて住民を増やしたりしましたが、商店街を訪れる人は減り続けています。柳ヶ瀬に集まっていた大規模店舗も次々と撤退し、遂に県内唯一の百貨店「髙島屋」も2024年7月末に撤退する予定です。
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地元で生まれ育った美容師の平田さんは、この現状に胸を痛めていました。
(平田研二さん)「自分が育ったということもあるし、柳ヶ瀬の方にお世話になったこともある。商店街なので(人が)いっぱいいた方が楽しい」
柳ケ瀬にもう一度賑わいをと考え、あるお祭りを復活させました。子どものころよく通った、お好み焼き店「マサムラ」。
(お好み焼き店マサムラ・正村周一店長)「(昔は)いろんな人がこの街に来て楽しんでいた。10年ちょっと前に今はない柳ヶ瀬をもう一回再現してみたいということで、幻まつり。今風で言えば、カオスな街をもう一回求めてみたい」
幻となった、かつての賑わいを取り戻そうという「幻まつり」。72歳になる店長の正村さんが、祭りの発起人です。その後、後継者がおらず祭りは中断されていましたが、外からこの街を盛り上げよう、という平田さんには大きな期待も。
(お好み焼き店マサムラ・正村周一店長)「僕たちは柳ヶ瀬という変な小さな柳ヶ瀬村の中で(考えが)凝り固まっている。若い子たちに外部で入っていただいて、何か催事をやれば確実に反響と集客がある」
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「幻まつり」の当日、商店街のアーケードは大勢の子どもで賑わっていました。実は平田さん、事前に市内全ての小学校に合わせて2万枚のチラシを配布していたのです。
(平田研二さん)「柳ヶ瀬のイベントは大人向けが多いので、僕らは小学生向けにと思っている」
ゲームに参加すれば、カブトムシやクワガタがもらえるなどのPRで、子どもたちとその親がやってきたのです。時計店で信長像を見つけ、盛り上がっていた親子が楽しんでいたのは「謎解き」。商店街の店に行けば、答えが分かるクイズを事前に配布し、実際に店に足を運んで答えを探す楽しみと、商店街全体を回ってお店を知ってもらうことが狙いでした。いろんな仕掛けで人を集めることに見事成功した平田さん。
(平田研二さん)「最高でした。みんな和気あいあいとしていて、よかった本当に。成功です!」
祭りから一か月後、再び柳ヶ瀬を訪れた平田さん。アーケードはどうなったのか尋ねました。
(平田研二さん)「(Q.祭りの後の人の数やにぎわいは?)変わってないだろうね。今まで何年も見てきたけど、変わってないのかな。子どもが遊ぶものがあれば来ると思うけど、それが今はない。何ができるか、まだまだ考えないと」
賑わいがまぼろしでなくなる日は来るのか。高齢化や地方の衰退の中、商店街の模索が続きます。
CBCテレビ「チャント!」2023年12月6日放送より