PwC Japanグループは2月16日、「第26回世界CEO意識調査」の日本調査結果を発表した。今回の発表は、今年1月にPwCグローバルが発表した調査から、日本企業のCEO176人の回答に焦点を当て、世界全体や他の主要な海外諸国との比較分析のもと、日本企業が置かれている状況や今後の課題について考察したものとなっている。
日本では、CEOの65%が世界経済の成長率低下を予測。前回調査での同様の回答はわずか8%で、世界経済の不確実性に対する警戒感が強まった20年度の調査で68%をマークして以来の水準となった。
また、コロナ禍によるビジネス上の制限が緩和するとの見通しが強まっている事などから、自社の収益に「自信がある」と回答したCEOは76%に達している。「全く自信がない」の回答は5%にとどまり、世界全体(10%)や米国(16%)と比較しても、自社業績に対する底堅い見方が伺える。
「現在のビジネスのやり方を継続した場合、10年後に自社が経済的に存続できない」と考える割合は、72%。世界全体で同様の回答をしたCEOの割合は39%となっている。
今後10年間の収益性に大きな影響をもたらすと考える項目については、日本では77%のCEOが「労働力/スキルの不足」を挙げている。また、規制の変更やサプライチェーンの混乱を挙げる回答も、世界全体と比較して高い割合を占めている。
次に、今後12カ月間における経営上の強い懸念材料について聞いてみたところ、49%のCEOが「インフレ」を挙げ、「地政学的対立」の回答も43%と高い割合に達している。両項目に対する日本のCEOの懸念は、米中や世界全体を大きく上回っている。
今後12カ月において、経済的課題や景気変動の影響を軽減するためにどのような施策の実行を検討しているかについて聞いてみた。すると、日本では「採用の凍結」を89%が検討していない、「労働力の削減」を77%が検討していないと回答した。
今後12カ月間のうちに、どの領域に対して投資を行う予定であるか質問したところ、日本のCEOの46%が「ビジネスモデルの脱炭素化」を挙げた。これは、米中と比べても高水準となっている。また、「気候リスクに対応した事業転換」へ投資を予定している割合も22%にのぼり、世界全体(7%)と比較して大幅に比率が高い結果となった。