企業進出・人材育成… “経済交流”深まる新潟とベトナム 花角知事が3年ぶりに海外訪問

3年ぶりに行われた新潟・花角知事の海外訪問に密着し、海外交流の現状や課題についてお伝えします。今回は現地の政府との連携が欠かせない、経済交流が深まるベトナムについてです。

1月、花角知事が降り立ったのは、ベトナムの首都・ハノイ市です。

県内企業の進出など、新潟との経済的な交流が深まっているベトナム。新型コロナウイルスの影響で3年ぶりとなった今回の訪問には、花角知事のほか、五泉市の田邊市長や県内企業の関係者など約50人が参加しました。

【花角知事】
「新潟県というものをベトナムの要人の皆さんに認識をしていただく。それが一つ、今回の訪問の大事な目的だと思っている」

新潟を知ってもらうため、花角知事が訪れたのは、外国からの投資の誘致などを担う計画投資省です。県は4年前、ここに企業のベトナム進出などを支援する窓口・新潟デスクを設置しましたが…

【計画投資省 ゴック副大臣】
「こちらから見ていて、新潟デスクの皆さん、ちょっと仕事が少なくて」

面会したゴック副大臣は、2月にもオンラインで新潟とベトナムの企業をマッチングさせる機会をつくることを提案。また、技能実習生の活動を支援する政策を求めました。

【花角知事】
「技能実習生の方がベトナムに戻ったあとも、何らかの形で新潟の企業などにつながるような、そういうことも意識していきたい」

こうした中、熱い歓迎を受けたのは、技能実習生の送り出し機関です。

県内のベトナム人技能実習生は、おととし10月現在で2276人。2016年に比べ、3.7倍にまで増えていて、ベトナムがこうした人材の交流を強化するのには理由があります。

【技能実習生の送り出し機関ESHAIの職員】
「若い人たちがどんどん採用されちゃうということになるので、やはり途中で失職してしまうということになりやすい」

人口約1億人のベトナム。増加する人口に対して働く場所が少なく、今後10年間で約200万人から300万人の失業が予測されています。

ベトナム人が新たに就職する場合やキャリア形成のためには、日本での技能実習の経験が一つの武器になります。

【花角知事】
「ぜひ、皆さんに新潟で、新潟の企業で、あるいは新潟の関係する職場で活躍してもらいたい」

一方…

【記者リポート】
「花角知事、3年ぶりのベトナム訪問です。旧正月前ということで、街は非常に混雑しています」

1月22日に「テト」と呼ばれる旧正月を迎えることから、街には食材や縁起物など様々なものが。

【花角知事】
「いったいなんだろう。これスッポンだよね?これは柿だ。ちょっと心配な色だけど」

Q.佐渡のものとは違う?
「佐渡のあんぽ柿とはちょと違うね。いや、しかしすごい。あの、カオスですね。以前は、こういうところに来ていないもん。本当に24時間滞在とかで弾丸だったので、初めて」

現地の雰囲気を体感し、さらに公務への熱が入る花角知事。在ベトナム日本国大使館で意見交換を行うと、最後に訪れたのは、国家主席の官邸です。

【フック前国家主席】
「今後、ぜひ新潟県知事におきましては、引き続き、ベトナムとの友好交流を継続して、さらに発展させていただくことを期待している」

【花角知事】
「投資と貿易の経済関係の交流を地方政府として、しっかり進めていきたいと思うし、加えて観光の交流、あるいは人材の交流も進めていきたい」

日本とベトナムは外交関係を樹立してから、今年で50周年の節目を迎えます。

【花角知事】
「人を育てるということに非常に強い関心を持っているから、それを逆に新潟県もウィンウィンの関係で活用させてもらいながら、同時に支援することで、将来にわたって長い関係でベトナムと付き合っていけるんじゃないかなと思っている」

▽海外訪問に密着した大竹智穂記者による解説

【キャスター】
今回の訪問では、花角知事が政府との連携を重視している様子が伝わってきた

【大竹智穂 記者】
ベトナムは社会主義国家で、共産党による一党支配体制です。そのため経済的な交流を拡大していくためにも、やはり政府にどれだけ新潟を認知してもらい、後押ししてもらえるかというのが大きな意味をなしてくると言えます。

一方で、今回花角知事と面会した2人が話していたのが、ベトナムに「投資をしてほしい」ということでした。

ベトナムは去年の実質GDP成長率が8%を超えるなど、アジアの中でも成長が著しく、日本国内のほかの自治体も関係の強化に向けて動いています。

こうした中で、新潟の存在感を高めるには、ベトナムへの投資やメリットのある政策を打ち出せるかが重要で、人材交流の面で花角知事は「技能実習生がベトナムに戻ったあとの支援も今後考えていきたい」と話していました。

【キャスター】
民間との交流では、何か課題はあった?

【大竹智穂 記者】
花角知事は新潟空港の活性化に力を入れているなかで、今回ベトナムの格安航空会社「ベトジェットエア」と接触する機会を伺っていました。

しかし、接触することができず、新潟空港からの直行便などの就航に向けた取り組みは引き続き行う考えです。