茂原市立美術館・郷土資料館は、中国・北京出身の画家、王子江(おう・すこう)さん(65)の長さ約100メートルに及ぶ水墨画「雄原大地(ゆうげんだいち)」を2年ぶりに完全公開している。茂原市民らが制作に協力し、同館の展示室の大きさに合わせて1996年に完成した超大作。王さんは来年、東京都内から茂原へ移住してアトリエを構える予定で「茂原をテーマにした創作が始まると思う」と尽きない意欲をみせる。
王さんは国際的に活動する画家で、NHKの番組で水墨画講師を務めるなど多方面で活躍。1989年~92年に長生村に住み、茂原市内で個展を開くなど長生地域にゆかりがある。
公開中の「雄原大地」は、まだ収蔵品が多くなかった同館(94年開館)に王さんの大作を飾ろうと、地域住民らが画材の資金を援助するなどして完成した作品。雨水が集まり大河に成長するさまを、王さんは15日間で壮大に描き上げた。制作の様子は同館で一部公開され、テレビや新聞に報道されて注目を集めた。
同館は2年ごとに同作品の全体を展示しており、16日には王さんが会場を訪れ、6年ぶりに自身で作品を解説した。約100人の来場者の前で王さんは「僕1人ではなく、茂原の皆さんの力を合わせて完成した作品。日中友好の花が咲いたような感じだった」と当時を振り返った。
王さんは、縁の深い茂原に移住後の創作活動を「年を取っても働いている農家のおじいちゃんやおばあちゃん、飲食店で一生懸命サービスをしている人らの温かい気持ちを絵にしたい。茂原は第二の古里。新しいテーマの作品が生まれてくると思う」と展望した。
雄原大地の全体展示は20日まで。来年1月15日までは作品の半分ほどを部分展示する。開館時間は午前9時~午後5時。入館無料。問い合わせは同館(電話)0475(26)2131。