密室の入管施設の中で何が起きていたのでしょうか。2021年、収容中に死亡したスリランカ人女性の遺族が国に損害賠償を求めた裁判で、295時間ある防犯カメラ映像のうち、5時間分が証拠として提出されました。そこに映っていたのは…。
入管施設で死亡したウィシュマさん 密室の中で一体何が? 証拠…の画像はこちら >>
ー映像の音声を再現ー(女性看守):「サンダマリさん!聞こえる?サンダマリさん!」頬に手を当てた女性看守。(女性看守):「なんとなく、ほっぺたは温かいんだけど。反応ないです。特には」
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名古屋の入管施設に収容されていたスリランカ人のウィシュマ・サンダマリさん(当時33)が死亡したのは、2021年3月6日。今回、裁判所に証拠として提出された映像は、その12日前から始まります。民事訴訟記録の閲覧を申請した記者が、その映像を視聴しました。
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死亡する12日前、女性看護師に「バナナ食べた。全部いった」と話したウィシュマさん。弱っているように見えましたが、会話は成立していたことがわかります。翌日。ウィシュマさんは、バケツを抱えたまま、苦しそうな表情で何度も嘔吐していました。女性看守に対し「私、死ぬ」と繰り返し、うめくような声で病院に行きたいと訴えます。
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ー映像の音声を再現ー(ウィシュマさん):「病院もってって、お願い。お願いします」(女性看守):「連れていってあげたいけど、私の力じゃ…、私、権力ないから」
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このとき、病院に行くことはなかったウィシュマさん。死亡する前日は、ぐったりした様子で、ほとんど動けない状態になっていました。仰向けのまま、女性看守の問いかけにも「アー」とか「ヤー」とか悲鳴のような声をあげるだけでした。
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(報告:橋本栄次記者)「映像を見ると、はじめは会話もできていたウィシュマさんが日に日に弱っていく様子がはっきりと見て取れます」
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そして映像の最後はウィシュマさんが死亡した日の午後2時すぎ。ベッドに横たわるウィシュマさんに女性看守が何度も声をかけますが、全く反応はありません。ウィシュマさんはこの後病院に搬送され、死亡が確認されました。
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法務省の報告書によれば、84.9キロあったウィシュマさんの体重は、司法解剖の時には63.4キロに減っていました。
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ウィシュマさんの遺族は、入管が必要な医療を提供しなかったことが原因だとして、国を相手に約1億5600万円の損害賠償を求める裁判を起こしていて、去年、裁判所の求めに応じる形で国側が5時間分の映像を証拠として提出しました。
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国側は、監視カメラ映像を見せることで「保安上の問題が生じる」などと反対していましたが、今後、公開の法廷でもこの5時間分の映像が映し出されることが決まりました。ただ、証拠として出されたのは、295時間ある内の約5時間分です。
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入管施設の中で、一体何が起きていたのか…。遺族側は真相究明に向けて、全ての映像の上映を求めています。