ガーシー被告、暴露動画配信は借金相手からの提案「正直しんどかった」「ギャンブルで4~5億円」

YouTubeで俳優の綾野剛(41)らを脅迫したなどとして、暴力行為等処罰法違反(常習的脅迫)など5つの罪に問われた元参院議員のガーシーこと東谷義和被告(52)の第3回公判が21日、東京地裁で開かれた。ガーシー被告は被告人質問で、借金返済のために友人2人から暴露動画配信を提案されたといい「断りにくかった。正直しんどかった」と説明。「芸能界は闇が深く、世の中に示さないとダメだと思った」とし「勝手な正義感があった」と述べた。(坂口 愛澄)
ガーシー被告は、黒髪にグレーのネクタイ、黒スーツで法廷に姿を現した。証言台の前に座り、弁護人と検察官の質問に約1時間半、答えた。YouTubeを始めたきっかけについては一般人の友人2人の名前を挙げ「A氏、B氏(法廷では実名)の提案です。コロナの時にギャンブルで借金が4~5億円と急激に増え、(A氏、B氏からも)借金をしていたので断りにくかった。やりたくない気持ちがあった」と説明した。当初は「暴露はやりません」と即答していたことも明かした。
ガーシー被告は「勝手な正義感」にかられ、芸能界の告発を続けた。暴露の対象は日に数百件あった「たれ込み」から信ぴょう性があるものを選んだとした。関西弁で「お前、オレに刑事告訴してくるんか!?」などと高圧的な口調でどなるスタイルは「(A氏、B氏から)『どなりながらやって』とキャラ設定をされていた。興奮状態だった。正直しんどかった」と当時を振り返った。
検察側はYouTubeでの配信の収益は約1億円を超えると指摘。ガーシー被告は、自身の借金は今も1億円近くあると認識しているという。長期間、滞在先のドバイから帰国しなかった理由については、関係者から「懸賞金が懸けられていた」とした。
検察側から「配信は今後やらないと誓いますか」と問われると「誓います。もう面倒くさい。二度とやりたくない」とか細い声で答えた。検察側は、ガーシー被告の支持者らが今も被害者側を攻撃している状況を踏まえ「誹謗(ひぼう)中傷など二次被害を防ぐために、(弁護士などを通じて)メッセージを発信すべき」と助言。ガーシー被告は「許されるのならやりたい。相談してやる」と話した。
被告人質問では、時折、早口になったり、急に小声になる場面も見られたガーシー被告。勾留期間約4か月では、20キロ近く痩せたが、保釈後は4キロ程度戻ったという。綾野らに対して「今は(脅迫したことを)認識し、反省している。申し訳なかった」と謝罪する一方で、脅迫の常習性はないと主張し、起訴内容を一部否認している。来年2月8日の次回公判で結審する見通し。
◆まるで「VIVANT」!? ドバイでの経緯
ガーシー被告は国際手配され、6月に緊急帰国し逮捕されるまでの経緯についても詳細を語った。ドバイで食事をするために知人らと自宅を出発しようとしたところ、地下駐車場で「(ドバイ警察と思われる)ストリートファッションをした男性約10人にいきなり取り囲まれた」と振り返り「『お前の国じゃない!』と手錠をかけられ、車に乗せられました」と説明した。
その後は「1時間半、砂漠を走り、暴力も振るわれ、殺されると思った」と明かし、社会現象となったTBS系ドラマ「VIVANT」さながらの過酷な状況を淡々と語った。また、警察関係者からは「日本に帰りたいのか」と問われ、ガーシー被告が「帰りたくないです」と答えると「これから国外追放します」と宣言されたという。
ドバイ国際空港に到着すると、関係者から航空券や米国発の人気ハンバーガー店「シェイク シャック(Shake Shack)」のハンバーガーなどを渡され、たった一人で飛行機に乗せられたという。ガーシー被告は、帰国しない意志をかたくなに貫いていたが「こんな所(ドバイ)で殺されるくらいなら、日本で自分の罪を償うほうがいい」と考えを改めたようだ。
◆20枚傍聴券に200人超 〇…この日の公判では、傍聴券20枚に対して、207枚の傍聴整理券が配布され、倍率は約10倍となった。「ガルー」と呼ばれるガーシー被告のファンらが地裁の出入り口付近に集まり、「ガーシー! ガーシー!」と叫ぶ姿もみられた。