【森永卓郎の本音】株価バブルはいつ弾けるか

米国連邦準備制度理事会(FRB)は12月13日、短期金利の誘導目標を3会合連続で据え置くことを決めた。同時に発表した経済見通しでは、2年にわたって実施した歴史的な金融引き締めが終結し、2024年中に3回の利下げを予測した。
コロナ禍で家計にたまった強制貯蓄がコロナ規制の緩和で噴出することで、過熱してきた米国経済が、一転して失速する懸念が高まったのだ。実際、IMFが10月に発表した世界経済見通しでも、米国の24年の成長率は1・5%と、前年の2・1%から減速すると見込まれている。
株価は、半年先の景気を織り込むと言われてきたのに、現実にはFRBの発表以降もニューヨークダウは、連日過去最高値を更新し続け、株価バブルはむしろ強まっている。一体、何が起きているのか。
実は、リーマンショック直前にも株価バブルは起きていた。FRBは利上げを続け、今回と同様5%超に達した。そのため米国経済は減速に向かったのだが、株価は下がらなかった。利下げで景気が改善し、株価が上がると多くの投資家が考えたからだ。
ところが利下げが続き、2%台まで下がったところでバブル崩壊は起きた。金利が下がるところまで下がると、利下げによる景気回復が期待できなくなってしまうからだ。今回も同じことが起きるとすると、バブル崩壊は25年から26年に発生する。バブル崩壊は一度起きると、株価は激しく落ちる。1929年の時は、株価は10分の1になった。
新NISAの開始で、口座数が前年比15%増となるなど、国民の投資熱は高まっている。ただ、私は投資を始めるのは、今ではないと考えている。特に老後資金を投資に回してはならない。大切な資金が溶けてなくなってしまうからだ。(経済アナリスト・森永卓郎)