【速報】いすみ鉄道が全線復旧 房総横断の鉄路復活 台風13号被災から3カ月半、地元住民も喜び 記念ステッカーと鉄印登場

大多喜町といすみ市を結ぶいすみ鉄道は25日、9月の台風13号の影響で運休が続いていた大多喜―上総中野間(10・9キロ)の運行を再開した。被災から約3カ月半で大原から上総中野までの全線(26・8キロ)が復旧。上総中野で接続する小湊鉄道も台風被災から暫定的に全区間で再開しており、房総を横断する鉄路が復活した。
いすみ鉄道は台風13号による記録的な大雨で、線路下の土砂流出や線路への土砂流入、倒木が9カ所で発生して9月8日から全線で運休。大原―大多喜間は同13日に運行を再開したが、被害が大きかった大多喜―上総中野間は再開できず、同14日に現地調査した鉄道・運輸機構(JRTT)の技術助言を基に復旧工事が続けられ、バスによる代行輸送を行っていた。
25日は始発から通常ダイヤに戻り、白地に赤い文字で「祝 全線開通」と記されたヘッドマークが車両に掲出された。敷石や土砂の流出で線路が宙づり状態になるなど最も被害が大きかった西畑―上総中野間の被災現場では、工事関係者らを招いた復旧セレモニーが行われ、出席者は通過する列車と一緒に記念写真を撮ったり、横断幕を広げて手を振ったりした。
前日の試運転やこの日の一番列車に乗車した古竹孝一社長(52)は「再開しなかったら(車窓からの)この風景は二度と見られなかった」と感慨深げ。「鉄道はつながっていることが一番大事だと改めて感じた。皆さんに助けられて復旧できてうれしい。地域の人たちと協力してまた頑張っていきたい」と復興の決意を述べた。
地元の人も全線復旧を喜んだ。復旧工事の様子を毎日のように見ていた大多喜町の農業、君塚啓二さん(61)は「最初はどうなってしまうのかと心配した。これからも愛されるいすみ鉄道であってほしい」。上総中野駅から週1、2回ほど乗車していたというアルバイト男性(45)も「復旧にもっと時間がかかると思っていたが、再開できてよかった」と話した。
代行バス運行経費を含む復旧費用は、国や県、周辺4市町の補助金や損害保険金で賄われ、概算で約1億7千万円とするが、削減も見込まれるという。
同鉄道は全線復旧を記念したステッカーと鉄印を作製。ステッカーは乗客や売店での購入客らに年内いっぱい無料配布(なくなり次第終了)し、鉄印は大多喜駅で販売する。