製品評価技術基盤機構(NITE)は、電気工作物に関する事故情報データベース(詳報公表システム)を用いて、2018年度から2022年度までに報告されたソーラーパネル等の事故分析を行い、その結果を発表した。
分析の結果、積雪量が多い時期に太陽電池発電設備(太陽光発電設備)の事故が増加すること、特に遊休地等に設置される小規模設備では、その傾向が強いことが分かったという。
事故の多くは小規模設備での、積雪による被害(堆積した雪によるソーラーパネルの破損等)によるもの。小規模設備の積雪による破損事故は、事故報告が義務化された2021年度では29件、2022年度は14件の計43件報告されている。同期間での中規模以上の設備の破損事故は計23件であり、小規模設備において約1.9倍の事故が報告されている。
積雪による破損事故が発生すると、その影響は広範囲に及ぶことが報告から明らかになった。特に発電設備の出力が小さくなるほど積雪によって大きな被害を受けやすい傾向があり、一度事故が発生するとその大半(平均70%以上)が破損しているケースが多く、感電等の危険性や長期間の復旧工事が必要となるおそれがある。場合によっては一度の積雪で全損に至る可能性もあるという。
小規模設備の積雪による被害状況について、中規模設備、大規模設備と比較すると、月別では3月、4月の順に報告が多く、地域別では中部地方が最も多いといった特徴が見られた。
積雪による太陽電池発電設備の破損事故を防ぐには、ソーラーパネルや架台が破損しないよう定期的な巡視点検や早い段階での除雪を行うことが大事だという。また積雪が予想される場合、保安業務を行っている主任技術者等との事前相談も重要。
他にも、事前に除雪計画を策定し、監視カメラによる積雪量の監視や定期的な巡視点検、除雪を行うことや、除雪機材を常備するとともに、必要に応じて、優先的に除雪して貰えるように除雪業者と契約を結んでおくことも有用。
積雪量の多い地域では気象条件に応じた架台の設計、設置をすることや、積雪がソーラーパネルから落ちやすくなるようなパネル傾斜角の設計、パネルから落ちた雪が軒先まで達しないような架台の高さの設計を施す必要もあるという。
積雪によってソーラーパネルなどが破損した場合は、感電の危険性があるので、関係者以外の一般住民の方が不用意に近寄らないよう柵を補修する、破損したソーラーパネルを速やかに回収する等の対策を行う必要がある。また、復旧作業時は適切な安全装備を身につけた上で、専門家の判断の下、行うようにと勧めている。