古いたたずまいの「洋服のお直し専門店」 一針一針に心を込めて 愛着と歴史が詰まった服を救う

「仕事はできる範囲でのんびり、コツコツと。食べるだけの稼ぎがあれば十分」と笑う上原アヤ子さん=13日、那覇市牧志[うちな~う](73)
那覇市の新天地市場本通りに並行する、ひっそりとしたスージの一角で、洋服のリフォーム店が軒を連ねている。演歌や懐メロが流れる小径(こみち)で、古いたたずまいの小間が隣り合う、小さな「お直し専門店街」だ。古くから、周辺のブティックなどの衣料品店から、服の直しやリメークの需要が多かったという。
人通りの少ないひっそりとしたスージグヮーの一角。ゆっくりとした時間の中でミシンの音がかすかに響く=8日 この地で40年以上店を営んでいる上原アヤ子さん(75)は「洋裁は、いわば自己流。たくさんの仕事を経験し、技術を覚えた」。預かった服の色や素材の性質を見極め、最適な糸と編み方を導き出す。培ったベテランの技が生きる。
張り詰めた仕事の手を休めて、ゆっくり昼ご飯。食べてしゃべって大笑いして、ほっと一息=15日
約1坪の店内には3台のミシンと作業台ほか、たくさんの針や糸、直し中の衣類などがぎっしり=14日 「リフォームショップ・しず」の屋良静子さん(72)も、この道35年以上の腕前。いつでも「正直・謙虚・感謝の気持ちが大切」と話す。実直な仕事の積み重ねで、仲間や客の信用を築いてきた。
服の色や素材によって糸を使い分ける屋良静子さん。常連客の口コミで新規で訪れる客も多い=9日 遠方から訪れる常連客も多い「お直しの店・文」の大城文子さん(74)。変わったところでは財布のファスナーやバッグなどの補修依頼も。「専門外で頭を悩ますこともあるけど、何もかも勉強」。

次々と舞い込む依頼に追われる大城文子さん。「お客さんの服への思いにしっかり応えたい」=14日 記念の日に手に入れた憧れの服や形見で捨てられない服…。服には、着る人の歴史と愛着が染み込んでいる。その深い思いに応えられるよう、一針一針に心を込めて編み続ける。(写真部・古謝克公)
洋服のお直し専門店「仕事はできる範囲でのんびり、コツコツと。食べるだけの稼ぎがあれば十分」と笑う上原アヤ子さん=13日、那覇市牧志”>人通りの少ないひっそりとしたスージグヮーの一角。ゆっくりとした時間の中でミシンの音がかすかに響く=8日”>張り詰めた仕事の手を休めて、ゆっくり昼ご飯。食べてしゃべって大笑いして、ほっと一息=15日”>約1坪の店内には3台のミシンと作業台ほか、たくさんの針や糸、直し中の衣類などがぎっしり=14日”>服の色や素材によって糸を使い分ける屋良静子さん。常連客の口コミで新規で訪れる客も多い=9日”>次々と舞い込む依頼に追われる大城文子さん。「お客さんの服への思いにしっかり応えたい」=14日”>洋服のお直し専門店”>