世界に1機の“空飛ぶ病院”キタ! 今年の関西圏空港を騒がせた「激レア機」たち 異形「ベルーガ」は何しに?

2023年、日本の空港にはさまざまな珍しい飛行機が飛来してきました。成田・羽田の首都圏空港ももちろんですが、関西圏の空港にも、引けをとらないレア度の機体が飛来してきました。
2023年、日本の空港にはさまざまな珍しい飛行機が飛来してきました。成田・羽田の首都圏空港ももちろんですが、関西圏の空港にも、引けをとらないレア度の機体が飛来してきました。どのようなものがあったのでしょうか。
世界に1機の“空飛ぶ病院”キタ! 今年の関西圏空港を騒がせた…の画像はこちら >>神戸空港に飛来した「ベルーガST」(2023年5月10日、乗りものニュース編集部撮影)。
4月、関西空港には、ニューヨークを拠点とする眼科医療の国際NGO団体、オービス・インターナショナル Orbis International)が運用するMD-10「フライング・アイ・ホスピタル(空飛ぶ眼科病院)」が飛来してきました。
MD-10は、JAL(日本航空)でも運用されていたマクドネル・ダグラス(現ボーイング)の3発ジェット機「DC-10」をベースとしたモデルです。
マクドネル・ダグラス社ではDC-10の派生型として、2人乗務を可能とし主翼や胴体などに設計変更を加えたMD-11をデビューさせます。一方で、今回飛来したMD-10は、DC-10の胴体をそのまま活用し、MD-11のコックピットシステムをレトロフィットしたうえで、2人乗務を可能としたモデルです。そのためMD-11では見られる主翼の両端に立ち上がった「ウイングレット」もないなど、外観上もDC-10の仕様をそのまま受け継いでいます。
しかし、MD-10を唯一運用していた、アメリカの貨物専用航空会社フェデックスでは2022年末を持って同型機を全機退役。ただでさえ現在MD-10の姿を見ることが難しくなっているなか、その役割からさらにレア度の高い飛行機となっています。
このMD-10ベースの「フライング・アイ・ホスピタル」は1973年に運航開始。手術室、研修室、手術前後のためのケアルーム、VRを始めとした最新のシミュレーショントレーニング技術を搭載しており、教育病院として医師の研修を行うことができる機能を持っています。
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報道陣に公開された「フライング・アイ・ホスピタル」(2023年4月21日、乗りものニュース編集部撮影)。
2023年5月、神戸空港には、胴体上部が大きく膨らんだルックスを特徴とする、ヨーロッパの航空機メーカー、エアバスの貨物機「ベルーガST」が飛来しました。
「ベルーガST」は旅客機「A300-600」をベースとし、おもにエアバス製航空機のパーツを輸送する目的で作られました。「ベルーガ」は「シロイルカ」の意味で、まさにそのユニークな外観が由来です。特徴的なルックスは、翼などの長尺の荷物を運ぶため。最大で幅7.1m、高さ6.7mの大型貨物を積載できます。
「ベルーガST」はこの特別輸送機「ベルーガ」シリーズの初期タイプにあたり、現在、エアバス製航空機のパーツ輸送業務は後継機である「ベルーガXL」が主担当になっています。そのようななかエアバスでは、2022年1月にパーツ輸送から外れた「ベルーガST」を利用し、その胴体を生かして、大型貨物の空輸サービスを提供する新事業を立ち上げました。これは同型機を用いて宇宙、エネルギー、防衛、航空、海運、人道支援などの分野の一般顧客に対し、貨物空輸を行うというものです。
「ベルーガST」が神戸空港へ飛来したのもこの事業の一環で、貨物室には、日本国内の顧客むけのエアバス製のヘリコプター「H225」を2機搭載。神戸空港には、エアバス・ヘリコプターの事業所があることから、同空港を最終目的地として飛来してきたようです。