年がら年中パソコンの画面を見つめ、細かい文字を追っている編集者兼ライターという因果な職業のためか、僕は眼精疲労からくる肩こりにいつも悩まされている。
これまで肩こり改善のための健康器具をいくつも試してきたが、最近買ったPanasonicの『コリコラン』がなかなか調子いいので紹介したい。
○■まったく何の刺激も感じられない高周波治療器
500円玉大のデバイスを気になる箇所に当てるだけで、頑固なコリがほぐれるという『コリコラン』は、“高周波治療器”なるジャンルに分類される電子機器だ。
デバイス4個入り(EW-CRA518-K)と2個入り(EW-RA500-K)の二種があって、僕は2個入りの方を購入した。
2個入りを選んだのは、両者の値段の差(4個入りは3万円前後、2個入りは1万5000円前後)によるものもあるが、そもそも僕はこの手の治療器を、最初から完全に信用しているわけではないからである。
電気を使う家庭用肩こり解消器具にも様々な種類があるが、大きく分けると二通り。
一方は、患部に対して直接的な刺激を伝えるものだ。
こった箇所に物理的な圧迫や振動を加えるマッサージ機。皮膚表面に微弱な電流を流す低周波治療器。患部に熱刺激を与える温熱治療器などがこれにあたる。
もう一方は、そうした刺激が自覚できないもの。
電気的に発生させた磁力を利用する磁気治療器。同じく電気的に発生させた電磁波を用いる遠赤外線治療器。
そして低周波治療器と同様、皮膚表面に微弱な電流を流す、高周波治療器などである。
体に直接的な刺激が伝わる前者は、最終的な効果の有無以前に、使用している間に気持ちよさを感じるものが多いので、リラックスタイムの楽しみの一つという、エンターテインメント的要素を含んでいる。
反面、後者の健康器具の方は何の感触も快感もないので、エンタメにはなりえない。
比較的長時間にわたって装着することにより、後から「そういえば、効いているかも」とほんのり自覚できるという、まあ言ってみりゃ地味な治療器なのだ。
○■低周波治療器と高周波治療器の違い
同じように電気の力を使って肩こりを解消する目的であり、名前も近しいが、低周波治療器と高周波治療器は使用感がまったく違う。
低周波治療器とは、1200Hz以下の周波数帯を使用する機器と定義されるが、実際には200Hz以下というかなり低い周波数を使うことが多いそうだ。
200Hzを超えると、ほとんど電気刺激の体感がなくなり、効果もほどほどになるからなのだとか。
低周波パルスを体に流すと、皮膚にピリピリとした刺激が伝わるとともに、筋肉が伸縮を開始する。するとポンプ作用が働き、弛緩したときには血液が大量に送り込まれ、つぎに緊張すると老廃物を含む血液が送り出される。
この働きを繰り返すことで患部付近の血行が促進され、肩こりが解消するという仕組みだ。
高周波治療器の方も、患部付近の筋肉に刺激を与えて血行を促すという目的は同じだが、10,000Hz以上という高い周波数を用いるという点が最大の特徴。
低周波と比べて電気の波が細かくなるため、皮膚に痛みやピリピリ感はまったく感じられない。
そして高周波の電気は皮膚の抵抗をほとんど受けず、低周波よりずっと奥まで通るので、インナーマッスルを動かすことが可能になるのだという。
『コリコラン』の場合、その周波数は9MHz。
1秒間に約900万回という超高周波で患部にアプローチするため、何も自覚のないうちに血行が促進され、いつの間にか肩こりが解消しているのだとか。
○■肌に直接貼るか、服などに固定して長時間装着する『コリコラン』
ざっくりいうとまあそんな感じなのだが、高周波治療器のPanasonic『コリコラン』に関しては、初めて使うものなので僕はそこそこの猜疑心を抱いていた。
まったく何の刺激も感じられないのであれば、高周波パルスが本当に出ているのかさえ疑わしい。
絶対的な信用度のある会社の製品だし、高周波治療器では業界唯一「医療機器」として認証されているらしいので、まず間違いはないとはわかっていても、なんか雰囲気だけで誤魔化そうとしているんじゃないの? と心の内側で疑ってしまっても仕方がなかろう。
『コリコラン』は充電器とセットで販売されていて、3時間の充電で24時間、9時間の満充電で48時間の連続使用が可能だという。
充電済みの本体はスイッチ操作など必要なく、常に高周波が放出されているのでそのまま気になる箇所に直接貼ったり、服の上からあてがったりするだけで効果が出るという。
しかし、「高周波が出ている」と言われても、うんともすんとも言わないので、本当に? とやっぱり心配になるのだ。
そこはさすがのパナソニックさん。そういったユーザー心理については、開発段階で大きな検討事項になっていたのであろう。
充電器には「CHECKER」と書かれた部分があり、そこにデバイスを近づけると、充電済みで使用可能、つまり高周波が出ている状態であれば、音と光で知らせてくれる仕組みになっている。
装着には複数の方法が用意されている。
一番簡単なのは、付属のシールを使い、デバイスを皮膚に直接貼ることだ。
だが、皮膚が弱い人が使うとかぶれる心配があったり、夏場に汗をかくと剥がれてしまう心配もあったりする。
その場合は、付属の“装着リング”を使えばOK。服やストラップにデバイスを固定することができる。
僕は汗っかきなので、デバイスは肌に直接貼らず、もっぱら装着リングで使用することにしている。
装着リングを使うとデバイスは直接肌に触れず、布一枚隔てることになるが、高周波の電気パルスは薄い布などがあっても弱まることはなく体に到達するそうなので、そこは心配ご無用らしい。
○■筆者が一カ月使用し続けた結果、実感できた効果とは
しつこいようだが、『コリコラン』というわかりやすいネーミングのこいつは、沈黙のデバイスだ。
充電器のチェッカーに近づけない限り、きちんと動作していることさえ確認できない。
チェッカーが鳴って高周波パルスが出ているらしいということが確認できても、そんなものが僕の頑固な肩こりを解消してくれるのかどうか。
最初はまあ半信半疑、いや、“三信七疑”くらいの気持ちで使い始めた。
どちらにせよ、ある程度の期間使い続けなければ評価はできないとはわかっていたので、なんとも手応えがない『コリコラン』を毎日充電しては、肩や首周りに装着した。
効果を実感できたのは、使用開始2~3日目だった。
僕は眼精疲労からくる肩や首筋のこり固まりから、やがて頭痛に至るという定番コースを繰り返すことが多いのだが、そういえばその数日、そんな兆しがまったくなかったのだ。
いつもは筋肉の強張りを感じる肩に手を当ててみると、なんだかいい感じで緩んでいた。
これは確かに効いてるかもな~と思い、その後も黙って使い続けた結果、使用開始から約一カ月を経過した現時点でもひどい肩こりは起こっておらず、その効果をしっかり認める段階に入っている。
ちなみにこうしたグッズ系記事は、企業から見返りをもらっている提灯記事ばかりと思っている人も多いようだけど、僕の場合はただの私物レポートであり、忖度はまったくないので悪しからず。
効かないものは効かないと書いても、原稿一本のギャラは変わらないのでまったく正直な感想を書いているのだが、『コリコラン』ははっきり言って効きます。
まったく無刺激と書いてきたが、装着中に自覚できることが一つある。
寒い今の季節でも、『コリコラン』をあてがった肌にほんのりとした温かみを感じるのだ。
手を差し込んでみると、その部分の肌が少し汗ばんでいることさえある。
デバイス自体が発熱しているわけではなく、肌が勝手に温かくなっているので、要するに血行が促進されているということなのだろう。
こうした健康器具の効果は、人によって感じ方に差はあると思うが、僕個人は『コリコラン』の効果を確信し、もはや手放せなくなりつつある。
肩こり同士諸兄は、試してみて損はないと思うよ。
文・写真/佐藤誠二朗
佐藤誠二朗 さとうせいじろう 編集者/ライター、コラムニスト。1969年東京生まれ。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わり、2000~2009年は「smart」編集長。カルチャー、ファッションを中心にしながら、アウトドア、デュアルライフ、時事、エンタメ、旅行、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動中。著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』(集英社 2018)、『日本懐かしスニーカー大全』(辰巳出版 2020)、『オフィシャル・サブカルオヤジ・ハンドブック』(集英社 2021)。ほか編著書多数。新刊『山の家のスローバラード 東京山中湖 行ったり来たりのデュアルライフ』発売。
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