【秋葉原】250万人を魅了した台湾発のメイドカフェが初上陸、オーナーが明かす「飲食店としての在り方」

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台湾発のメイドカフェグループ「ツクヨミメイドカフェ」日本1号店が10日、東京・秋葉原にオープン。来年1月11日までプレオープンとしてテストを繰り返し、12日よりグランドオープンする。
“コンセプトカフェ激戦区”秋葉原に正統派メイドカフェの出店を決めた同店オーナー・鄭(てい)傑中さんに、その熱き思いを聞いた。
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秋葉原電気街の目抜き通り「中央通り」沿い飲食店ビルに出店したツクヨミメイドカフェ(台湾では「月讀館」表記)。
店内は王宮をイメージさせるゴージャスな内装で、コスチュームはベーシックなメイドスタイル。取材したタイミングがクリスマスシーズンだったため、期間限定のサンタ系コスのキャストもいたが、“正装”である王道メイド服は台湾、日本でも共通デザインである。

料理はお絵描きオムライスなどのほか、ルーローハン、オリジナル牛肉麺、パーコーまぜ中華そばなど、厨房でフライパンを振り調理する「台湾ご当地グルメ」が主力。
土地柄、60分の最低注文1,500円というルールこそあるが、「チャージ料なし」「入場料なし」のルールは秋葉原の新店ではじつに珍しく、10数年前主流だった古き良きメイドカフェを思い返させる。客単価は2,000円~2,500円程度。

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オーナーである台湾人の鄭さんはゴリゴリのアニメ、マンガ、メイドオタクで、秋葉原へのリスペクトを長年持ち続けてきた人物。見た目も話し方も優しいアキバ系男性といった感じだが、台湾ではすでにツクヨミメイドカフェ7店舗を展開しているアイデアマンでもある。
「大学時代に日本へ留学し、卒業後は2年間の兵役を経験。その後、台湾のアーケードゲーム会社に勤め、同時にメイド文化を分析する同人誌を作っていました。台湾版コミケといわれる『コミックワールド台湾』『台湾FF(Fancy Frontier)』にもサークル出展。メイド文化に台湾人も大変興味を抱いていたので、台湾FFの企業ブースを借りて一日限定のメイドカフェをやったところ大反響がありまして。台湾・高雄に一号店を出したのが19年前になります」と、これまでを回顧。
以降、同店は人気となり、現在はグループ全体で月に約3万人、これまで述べ250万人の来客を記録している。

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「日本に来ると、メイリッシュやキュアメイド(共に秋葉原の老舗メイドカフェ)に通い、そのサービスに毎回感激していました。秋葉原にお店を出すなら台湾の美味しいグルメも楽しんでもらいたいと、私のお店ではルーローハンなど台湾料理を出すことを考え、キッチンも整備。7割近い料理をすべて厨房で作っています」と鄭さん。
クリスマスもルーロー飯です pic.twitter.com/AosuWvHbyG
ツクヨミメイドカフェ×公式 (@TUKUYOMI_HOLD) December 25, 2023
昨今、秋葉原にできるコンセプトカフェ&バーは、酒メインのガールズバー形式が多いが、その流れに乗らなかった理由を問うと、「メイドカフェ、コンセプトレストランというのは、飲食店として成立していないといけない。ベースにきちんとした料理、飲み物、店内環境があって、最後にメイドのエッセンスをプラスする。私の信念として、女の子だけをウリにする店にはしたくなかったんです」と語る。

店で注文する際、客は渡されたキュートな封筒に注文票を入れメイドに渡す。久々に帰宅した“ご主人様”が、屋敷を守ってくれたメイド達に感謝の手紙を渡すという設定だ。そんな仕掛けの端々に非日常空間を味わってもらいたいという遊び心が潜んでおり、店内で配布しているポストカードやクリアファイルも、鄭さんのこれまでの同人活動が生きているように感じた。

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コロナ明け、秋葉原には連日多くの外国人観光客が訪れている。そんなインバウンド需要を意識しつつも、「秋葉原に通う日本の方々に愛される店になりたい」と明かす鄭さん。
店内で働くメイドの半数は台湾人で、日本語と中国語が話せる。ワーキングホリデー、または留学生を積極的に採用し、最低でも1人は常に中国語を話せるメイドを配置しているという。

「私も日本語勉強中の時は、メイドカフェに入るのも勇気が必要でしたし、入った後にちゃんと意思疎通ができるかな、といつも不安を抱いていました(笑)。そんな経験から、観光客の国の言葉で話せるメイドがいたら、もっとメイドカフェをリラックスして楽しめると考えたのです。台湾人の女の子はみなちょっと“妹”みたいな性格で、OKなことはOK、嫌なことは嫌とストレートに明かしてくれる。そこを活かして、お客さんとメイドの気持ち良いコミュニケーションができる店を目指しています」(鄭さん)。

●ツクヨミメイドカフェ(東京都千代田区外神4-4-2 共益外神田ビル 7階)
営業時間は、年末年始以外は無休(12/31~1/2は休業)で14時~21時30分(土日は12時~)。1月12日のグランドオープン以降は、メイド服に加えチャイナドレスデーなどのスペシャルイベントも企画している。
【取材後記】これまで秋葉原のコンセプトカフェを多数取材してきた記者だが、久しぶりに王道メイドカフェが秋葉原へ戻ってきたように感じた。6月、イラストレーター・岸田メル氏プロデュースで秋葉原に出展した正統派コンセプトカフェ「IDOLY」も、女の子ではなく店内内装やコンセプト、世界観に重きを置いており、昨今のコンセプトが曖昧なガールズバー群の流れとは真逆をいく。取材申請前に隠密でロケハンを行った店だったが、その時の料理、接客、雰囲気、コスパも優良だと感じた。

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キモカメコ佐藤:1982年東京生まれ。『sirabee』編集部取材担当デスク。
中学1年で物理部に入部して以降秋葉原に通い、大学卒業後は出版社経て2012年より秋葉原の情報マガジン『ラジ館』(後に『1UP』へ名称変更)編集記者。秋葉原の100店舗以上を取材し、『ねとらぼ』経て現職。コスプレ、メイドといったオタクジャンル、アキバカルチャーからスポーツまで精力的に取材しつつ、中年独身ひとり暮らしを謳歌する。