シャンシャン「また会おう!」上野動物園100人&成田空港300人ファン見送り…返還先中国へ

上野動物園(東京都台東区)のジャイアントパンダ、シャンシャン(雌、5歳)が21日午後、成田空港発のチャーター機で日本を離れ、中国・四川省の成都双流国際空港に到着した。成田空港には300人以上のファンが詰めかけ、シャンシャンの旅立ちを見送った。
「忘れないで~」「また会おう!」。午前7時過ぎ、輸送用の黒いコンテナに入ったシャンシャンが、トラックに載せられ上野動物園を出発した。早朝にもかかわらず沿道を埋め尽くしたファンは一斉にカメラやスマートフォンを向け、涙声が次々とあがった。100人以上に見守られ、シャンシャンが5年8か月を過ごした“実家”を後にした。
午前8時半ごろ成田空港に到着し、出国手続きを終え、午後0時45分に成田を出発。300人超が展望デッキに集まり、別れを惜しんだ。長時間の移動によるストレスを和らげるため、移動には上野動物園の職員2人が同行。園によると、機内では落ち着かない様子で動いていたものの、餌を少量食べており問題はないという。
5時間半かけ日本時間午後6時15分ごろ、無事に成都双流国際空港に到着。荷台にシャンシャンの姿と共に中国語で「歓迎大熊猫“香香”回国(おかえりシャンシャン)」と描かれたトラックで、中国ジャイアントパンダ保護研究センターの雅安碧峰峡(へきほうきょう)基地に向かった。検疫を受け、飼育先が決まってから、繁殖相手を探すことになる。
この日は偶然ながら、12年前にシャンシャンの両親のリーリーとシンシンが中国から上野に到着した日と重なった。園からの出発を見守った福田豊園長は「当時はどきどきしてパンダの到着を待っていました。今回はシャンシャンを送り出す側。旅が無事に完了するよう願っています」と話した。
中国外務省の汪文斌副報道局長はこの日の記者会見で、シャンシャンについて「両国民の友好促進に特別な貢献をした」と話し、日本の人々に長年愛された「かわいい使者」だと強調。今後、多くの日本人がシャンシャンに会いに中国へ来ることを歓迎すると話した。中国メディアは「スターパンダ・シャンシャンの帰宅だ!」と題し、航空機の中国到着をインターネットで生放送。四川省の人々からは「今まで大切にしてくれて、謝謝(ありがとう)」と感謝の声が上がった。