事故原因の特定が最優先されるべきこと。
航空関係のさまざまな労働組合からなる民間団体、JFAS(航空安全推進連絡会議)は2024年1月3日、前日に羽田空港で起きたJAL機と海上保安庁機の衝突炎上事故に関して、緊急声明を出しました。 JFASには、パイロットや管制官、整備士、客室乗務員(キャビンアテンダント)、グランドハンドリング、気象庁職員、税関職員など、航空の現場で働く人たちの各種労働組合が加盟しており、その数は42団体、約1万人にもなります。 そのような一大組織が出した要望というのは、憶測を排除し、運輸安全委員会による慎重かつ正確な事故調査が実施されるべきであるという内容です。これに関連して、報道機関やSNSなどでのコメントは、憶測や想像を排除し、正確な情報のみを扱うように、というものでした。
「憶測はやめて!」羽田衝突事故で専門団体がマスコミやSNSに…の画像はこちら >>羽田空港のC滑走路に残されたJAL機の残骸(深水千翔撮影)。
またJFASは警察の捜査に関しても注意が必要との内容を明記しています。
それによると、日本国内で航空機事故が発生した場合、警察が事故原因を特定することを目的に捜査することが通例ですが、これはICAO(国際民間航空条約)が求める事故調査ではないとのこと。これまで日本において発生した航空機事故では、警察が調査したことで原因の究明に大きな支障をきたしたという事例がいくつもあったと明言しています。
警察の調査はあくまでも犯罪捜査であり、事故原因を究明するための捜査ではないとしています。 航空機事故の発生原因には複合的な要因が潜在しているため、ICAOでは事故の再発防止が原因調査の原則であり、日本もICAOに批准している以上、その真意を理解し遵守することが求められると明記していました。
また日本では、運輸安全委員会の事故調査結果が刑事捜査や裁判の証拠に利用されるものの、これについても明らかな犯罪の証拠が認められる場合を除いて、調査結果の利用を禁止するICAOの規定に逸脱した行為になり、容認できないと断言しています。 これらを踏まえ、JFASでは航空機事故において最優先されるべきは事故調査であり、決して刑事捜査ではなく、かつその調査結果が再発防止以外に利用されるべきではないと強く要望しています。