芦ノ湖の遊覧船どうやって運んだ? 造船所もなければ運べる川もない 山中の湖にあるヒミツが

箱根の芦ノ湖では遊覧船が運航されています。ところで、造船所などない山中の湖に、どのようにして船を運んだのでしょうか。「はこね丸」を運航する箱根遊船に聞きました。
神奈川県の観光地・箱根にある芦ノ湖では、遊覧船が運航されています。うち、富士急グループの箱根遊船は3隻の船を所有しますが、いずれも全長25m以上、定員は700人と、決して小型船ではありません。 ここでふと疑問が。山中の湖へ、このような大きな船をどう運んだのでしょうか。
芦ノ湖は、そこを水源(現在はせき止められている)とする川もあるものの小さく、とても船が航行できるものではありません。もちろん一般的な港湾で見られるような造船所もナシ。遊覧船はいったい、どのようにして建造、運搬されているのでしょうか。
芦ノ湖の遊覧船どうやって運んだ? 造船所もなければ運べる川も…の画像はこちら >>箱根遊船の「はこね丸」。芦ノ湖は海とつながっていないが…(画像:写真AC)。
箱根遊船に尋ねると、横浜の造船所で製造されたパーツを、湖の南端にある関所跡港のドックで組み立てた(ブロック工法)と話します。建造は日本鋼管(現・JFEスチール)が担い、完成したパーツは横浜からトレーラーで運び、湖のドックで溶接したそうです。
ちなみに「はこね丸」はリニューアルされ、2024年2月23日(金・祝)に「SORAKAZE」(そらかぜ)として就航します。定員は550人と減少しますが、天然芝を敷き詰めた屋外デッキや車いすスペースなどが設けられるほか、船尾には天然の蔦を這わせるのだとか。改装は湖のドックで行われ、隅田川造船所が携わっているそうです。
なお船のデザインは、JR西日本の特急列車「WEST EXPRESS 銀河」を手がけた川西康之氏によるものです。