新潟・上越市を襲った津波“2mと推定”専門家の調査で発覚「木造家屋は破壊されるような高さ」

能登半島地震により津波の被害を受けた上越市では、到達した津波の高さが推定で2mに及んでいたことが専門家の調査でわかりました。水深が浅い上越市周辺の海域に、津波が集中したことが考えられるといいます。

川の河口から遡上する津波。堤防を超え住宅の方へ流れ込みます。今月1日の能登半島地震発生後の上越市の関川の映像です。

【住民】
「この辺まで水が来た。一瞬でしたけど」

上越市では津波により堤防や港の岸壁が破損したほか、海水浴場の浜茶屋が流されるなど大きな被害が出ています。ただ、上越市には気象庁の津波の観測地点が無く、県内で実際に観測された津波は柏崎市鯨波で40センチなどとなっていますが…

【長岡技術科学大学 犬飼直之准教授】
「海岸に到達した津波の高さは現在のところ2mくらいあったのではないかと考えている。木造家屋では破壊されるような津波の高さになる」

こう指摘するのは長岡技術科学大学の犬飼直之准教授です。犬飼准教授が今月5日に上越市から刈羽村付近にかけての沿岸で現地調査をした所、津波の痕跡などから上越市直江津地区に押し寄せた津波は約2mの高さだったと推定されるということです。

津波は水深が浅い方に曲がる特徴があり、犬飼准教授は周辺と比べ浅い上越市の海域に波が集中したことが考えられると分析します。

【長岡技術科学大学 犬飼直之准教授】
「津波は発生する場所によって特徴のある伝播の仕方をする。今回はたまたま上越市の方に津波が集中した。新潟県沿岸域の津波の特徴を見ると、地震津波発生後から陸地に到達するまでの時間がとても短いという特徴がある。大きな地震を感じたら海辺の近くにいる人たちはまず避難を考え行動をしてほしい」

またこの津波により…

【記者リポート】
「名立港近くの岩場にも一隻打ち上げられています」

県内の沿岸には石川県から漂着したとみられる漁船が確認されています。各海上保安署によりますと、これまでに上越市で9隻、糸魚川市で7隻、佐渡市で1隻の漂着が確認されていて、いずれも船体番号などから石川県から流れ着いたものと考えられるということです。

【住民】
「7日くらいからあった。地震があったから能登の(船)だとすぐに分かった。やはり怖い」

改めて実感させられた津波の威力。命を守るための備えが求められます。