成田空港、国内線の利用者1億人到達 LCCターミナル転機に 「身近な移動手段」定着へ

成田空港国内線を利用した旅客数が10日、延べ1億人に到達した。国際空港として開港した1978年当時は乗り継ぎ用。国内線を軸にする格安航空会社(LCC)専用の第3ターミナルが2015年にオープンして急速に路線や利用者が増えた。国際線とともにコロナ禍での停滞も脱し、成田国際空港会社(NAA)の担当者は「国内移動の足として国内線をさらに身近な存在に」と意気込む。
10日、第3ターミナルにあるLCC「スプリング・ジャパン」(成田市)のカウンターには札幌(新千歳)に向かう旅客が列をなし、外国人観光客の姿も目立った。神奈川県から来た大学院生と大学生の20代男性2人組は「海鮮などのグルメが楽しみ。成田には低価格の路線があり、旅行に手が届きやすい」と喜ぶ。
開港約3週間後の78年6月8日、日本各地からの国際線への乗り継ぎを目的に始まった国内線運航。初日は日本航空が札幌と大阪、福岡へ1便ずつだった。今は全日本空輸も含む大手2社と、国内17路線を張るジェットスター・ジャパンなどLCC3社が運航する。
累計の国内線客は93年に1千万人、約20年後の2012年時点でも3千万人だったが、2015年の第3ターミナル完成が起爆剤となり、翌16年には一気に5千万人を突破。20~22年のコロナ禍の停滞を経て、昨年は19年並みの需要に回復し、1億人に至った。
第3ターミナルを巡っては、19年に当時の年間取扱能力900万人を超える需要があり、NAAが22年4月に年1500万人に対応できる施設拡張を行った。
1億人の節目に、NAA総務人事部の片山仁マネジャーは「10年間のLCCの飛躍によって、多くの人に成田空港を国内旅行・出張の移動手段として使ってもらえている」と分析した。
成田の国際線の累計旅客は昨年11月末で約10億6626万人となっている。