能登半島の地震、そして翌日には飛行機事故と、大変な一年の始まりになってしまいました。地震は被害の全容がいまだに見えない程の深刻さです。これ以上被害が大きくならないことを祈るとともに、被害に遭った方々に心よりお見舞い申し上げます。
私は元日、昼過ぎから家族で団らんし、そろって正月を迎えられることのありがたさを感じながら散会しましたが、その直後、この地震が起きました。それだけに、今の平穏な日常がいかにもろく、どれだけ大切か、またしてもつくづく思い知らされました。
そして、このような突然の災害が起きる度に思うのが、報道の仕事に携わる私たちには一体何ができるのか、ということです。もちろん、その時には、命を守るための報道、呼びかけを必死に行うわけですが、それは本当に命を守ることにつながっているのか、どうすれば命を守る報道ができるのか、という疑問です。
その指針になると私が思うことの一つに、東日本大震災で家族を亡くした方がおっしゃっていたことがあります。「緊急地震速報や大津波警報、ニュースの速報は、命を守るための『スイッチ』を入れるものでなくてはならないはず。ただ、聞いた人がそう感じるためには、そこまでにいかに心の準備ができていたかにかかっていると思う。テレビなどで伝える側で言えば、大切なのは、起きた時の伝え方を工夫するより、起きる前に、その時への備えを伝える工夫や努力だと思う」というのです。
東日本大震災を経験した私たちは、そうした「起きる前」の準備がいかに大切かを、身をもって知っていますが、とはいえ、命を守ることにつながる、「起きる前」の報道ができているのか。そうした視点で、常に自分たちの仕事を点検し、ブラッシュアップしていかなければならないと思っています。