狛江強盗殺人容疑者は死刑か無期懲役に…闇バイト代100万円で“極刑”の大きすぎる代償

闇バイトの「代償」はあまりにも大きかった。
今年1月、東京都狛江市の住宅で大塩衣与さん(90)が5人組のグループに襲われ、殺害された事件。警視庁は22日、強盗殺人と住居侵入の疑いで、いずれも実行役とみられる土木作業員の永田陸人(21)と職業不詳の野村広之(52)両容疑者、大学生の男(19)ら4人を逮捕した。もう1人の実行役とみられる加藤臣吾容疑者(24)も、広島市の強盗殺人未遂事件の捜査が終わり次第、逮捕する。
永田容疑者らは1月19日昼ごろ、宅配業者を装って大塩さん宅に侵入。自宅に1人でいた大塩さんを地下に連れていき、結束バンドで両手首を縛り、現金の在りかを聞き出すため、顔面や全身を殴打した。大塩さんの死因は急性呼吸不全で、肘から骨が露出するほど激しい暴行が加えられていた。犯行に使われたレンタカーから押収されたスマートフォンには、指示役のキムからの「地下に金がある」「老人を殴れるか」というメッセージが残っていた。
永田容疑者は昨年12月、東京都中野区の住宅に押し入り、住人男性の顔を殴り、クローゼットに隠していた現金3200万円を奪った強盗致傷事件の実行役のひとり。その際も周囲に、「血だらけにしてやった」とうそぶいていたという。
「ルフィ」や「キム」を名乗るグループが関与したとみられる広域強盗事件は、これまで全国で50件以上に上る。ルフィらはSNSで「闇バイト」を募集。昨年11月、山口県岩国市で起きた強盗未遂事件の実行役は「日当100万円」の「闇バイト」に応募。組織から「タタキ(強盗)の仕事」と説明され、犯行グループに加わっていた。

■実行犯はしょせん「捨て駒」
実行役の報酬は多くて150万円までで犯行に使う車の運転手役は80万円ほど。応募者の多くがギャンブルなどで多額の借金を抱え、ヤミ金融業者から追い込みをかけられるような連中だった。
「こんな割に合わない仕事はない」と、闇バイトに詳しい関係者がこう続ける。
「岩国の事件では実行役に『金庫が2つあり、合計で1億円ある』と指示があったようですが、ターゲットがごく普通の家庭でないことは明らかです。実際、被害に遭った住人が日本刀を持ち出し、応戦しているわけですから。返り討ちにあってもおかしくなかった。襲われた住宅には、現金でしか商売ができないなど、なんらかの事情があるはずです。当然、セキュリティー対策はしっかりしているはずですし、住人もそれなりの立場の人物でしょう。となると、襲撃する側にもリスクがあります。用心棒がいることも考えられますから。ルフィ側ももちろんそんなことは百も承知です。闇バイトなんてしょせん『捨て駒』なのです」
強盗殺人や強盗致死の法定刑は、「死刑」か「無期懲役」のみ。わずか100万円の報酬に目がくらんだばかりに“極刑”とは、いくら後悔したところで取り返しがつかない。