公務員はパワーカップルになりやすい? 公務員の平均年収や特徴とともに解説

高収入の共働き夫婦を表す「パワーカップル」。平均的な家庭より収入が多く憧れの存在ですが、特に、公務員の家庭はパワーカップルになりやすいと言われています。そこでこの記事では、公務員がパワーカップルになりやすい理由を、公務員の平均年収や特徴とともに解説します。

■パワーカップルとは

パワーカップルとは、「高収入を得ている共働き夫婦」を表す言葉で、決まった定義があるわけではありません。ニッセイ基礎研究所では、「夫婦ともに年収700万円以上の世帯」をパワーカップルとして定義しています。また、三菱総合研究所では、「夫の年収が600万円以上、妻の年収が400万円以上で、世帯年収が1,000万円以上の夫婦」をパワーカップルとしています。

いずれにしても、平均的な収入の家庭よりは経済的に余裕がありますが、こうしたパワーカップルは近年増加傾向にあるようです。以前なら、高収入を稼ぐ夫の妻は専業主婦やパート勤務が多く、夫婦間で収入に差がみられるのが一般的でした。しかし最近では、夫が高収入でも妻も正社員として働く家庭が多く、パワーカップルが生まれやすいという背景があります。

また、「夫婦ともに高収入」というパワーカップルの条件から、パワーカップルになりやすい職業には傾向があるようです。たとえば、医師や弁護士、公認会計士、そして大企業や外資系企業に勤める夫婦はパワーカップルになりやすいと言われています。そのほか、「公務員」もパワーカップルの条件をクリアしやすい職業の1つです。
■公務員の平均年収はどのくらい?

パワーカップルになりやすいとされる公務員ですが、では、公務員の平均年収はどのくらいなのでしょうか。令和5年の「国家公務員給与の実態」によると、国家公務員の平均給与月額は41万2,747円です(※1)。これに夏・冬のボーナス(4.5ヶ月分)が加わるとして計算すると、平均年収は約681万円になります。

また、「令和4年 地方公務員給与の実態」によると、地方公務員の平均給与月額は41万3,202円です(※2)。たとえば、東京都職員の2022年(令和4年)の夏ボーナス支給額は平均92万2,308円、冬ボーナス支給額は平均92万1,669円でしたので、これを加えると平均年収は約680万円になります。

一方、「令和4年分 民間給与実態統計調査」によると、1年を通じて勤務した給与所得者の平均給与は458万円となっています。これらのデータを比較すると、公務員と民間企業の平均年収には220万円以上もの差があり、公務員の給与の高さがうかがえます。

たとえば、夫婦そろって公務員であれば、ニッセイ基礎研究所が定義するパワーカップルの「夫婦ともに年収700万円以上の世帯」にはやや届きませんが、三菱総合研究所が定義する「夫の年収が600万円以上、妻の年収が400万円以上で、世帯年収が1,000万円以上の夫婦」には当てはまります。また、年齢が上がれば年収は増えますし、公務員でも職種によって給料が異なりますので、夫婦ともに年収700万円を超える世帯もあるでしょう。

さらに、公務員は民間と比べて収入が高いため、夫婦のどちらかが公務員という家庭もパワーカップルになりやすいと言えます。いずれにしても公務員は、パワーカップルになる要素を備えている代表的な職業でしょう。

(※1)俸給には地域手当や広域異動手当、俸給の特別調整額、本府省業務調整手当などの諸手当含む
(※2)平均給与月額に平均諸手当月額を加えたもの
■公務員は福利厚生が充実している

公務員は収入が高くパワーカップルになりやすいだけでなく、福利厚生が充実しているという面もあります。公務員の福利厚生は、以下の3種類に分けられます。

1.組織の福利厚生…手当や休暇制度、退職金制度など

2.共済組合や互助会の福利厚生…共済保険、短期・長期給付金、人間ドックの補助、スポーツ施設の利用補助など

3.職員厚生会の福利厚生…結婚や出産時の給付金、プライベートの旅行などへの費用補助など

特に、公務員の福利厚生は各種手当が充実しており、たとえば、以下のような手当があります。

・扶養する家族のいる職員には扶養手当を支給
・交通機関を利用して通勤する職員には、1ヶ月あたり最高5万5,000円の通勤手当を支給
・賃貸物件に住んでいる職員には、月額最高2万7,000円の住宅手当を支給
・転居によって配偶者と別居し単身で暮らす職員には、月額3~10万円を支給
(支給額は、職員住居と配偶者住居の交通距離に応じて決定)

これらの手当が支給されることにより、家計負担を減らし、経済状況を安定させることができます。

また、公務員は民間企業と比べ、育児休業を長く取りやすいことも知られています。人事院によると、公務員の育児休業は、「配偶者の就業等の状況にかかわらず、子の3歳の誕生日の前日まで休業できる」とあります。

育児休業が取りやすいことで子育て世帯も働きやすく、また、子育てのために仕事を辞める必要がないため、長く安定して働けるのも公務員の大きなメリットと言えそうです。
■公務員は高収入なだけでなく、さまざまなメリットがある

公務員は民間の平均と比べて高収入であるため、特に夫婦ともに公務員の場合は、パワーカップルになりやすいとされています。また公務員は、福利厚生に恵まれているほか、信用力が高く住宅ローンが組みやすい、倒産による解雇や退職金の削減などがないといったメリットもあります。もちろん、公務員にも外からはわからないさまざまな大変さがありますが、こうした環境で働けることはとてもうらやましいですね。

武藤貴子 ファイナンシャル・プランナー(AFP)、ネット起業コンサルタント 会社員時代、お金の知識の必要性を感じ、AFP(日本FP協会認定)資格を取得。二足のわらじでファイナンシャル・プランナーとしてセミナーやマネーコラムの執筆を展開。独立後はネット起業のコンサルティングを行うとともに、執筆や個人マネー相談を中心に活動中 この著者の記事一覧はこちら