最近、とても気に入り毎日のように嗜んでいる飲み物がある。
ドイツ産のノンアルコールビール、『ヴェリタスブロイ』だ。
当然のことながら、『ヴェリタスブロイ』のアルコール含有率は0.00%。
アルコールだけではなくいっさいの人工添加物を含んでおらず、逆にモルト、ホップ、ビール酵母などの天然原料によってもたらされる、健康機能性栄養素たっぷりというのが売りのようだ。
○■根っからの下戸で“ビールよりコーラ派”だった筆者が出逢ったノンアルコールビール
『ヴェリタスブロイ』は、“世界でいちばんビールに近いノンアルコールビール”という謳い文句で宣伝されている。
確かにそのとおり、味や喉越しはビールそのもの。
これだったら飲みたくても飲めないシチュエーションのとき、ビールがわりとしての役割をしっかり果たしてくれそうである。
…とかなんとか言っておりますが、実は僕は根っからの下戸。
そもそも酒を飲めないのだから、自分自身は“飲みたいのに飲めない”なんていう気持ちになったことが一度もない。
「飲みたくても飲めないシチュエーションのとき、ビールがわりに云々」というのは、酒飲みの人の気持ちを想像し代弁しているに過ぎないのである。
ノンアルビールに限らず、お酒っぽい味わいや喉越しを持ちながらアルコール成分を含まない飲料というものは、もともとお酒好きな人が仕方なく飲む代替品だったと思う。
だからかつての僕は、酒に準拠するノンアルコール飲料なるものにも、まったく関心がなかった。
お酒の席で「飲めないの? じゃあノンアルビールにしたら?」と聞かれても、元からビールなんて飲まないし興味もなく、味わって飲んだことすらほとんどなかったので「いらん。コーラがいい」と思うばかりだったのだ。
だが、これも寄る年波のせいなのかどうか知らんけど、昔は強かった甘い飲み物に対する興味が、年々小さくなっている。
お酒好きな人がアルコールに求めているような効果・役割を、かつての僕は糖分に対して感じていたのかもしれないが、それを欲する気持ちが徐々にシュリンクしているのだ。
酒好きが食事をしながらビールなどを飲むのと同様に、以前の僕はどんな食事の際にも、テーブル上に甘い飲み物を置いていた。
餃子を食べながらコーラを飲んだり、焼肉を食べながらカルピスを飲んだり、寿司を食べながらオレンジジュースを飲んだりしていて、それを普通だと思っていた。
そんな様子は酒飲みからすると違和感があるようで、「気持ち悪くない?」と引かれたりしていたが、まったく平気だった。
だが最近は甘い飲み物を飲む機会がめっきり減り、水以外での水分補給はもっぱらお茶類や炭酸水になっていたのだが、あるとき、家にあったノンアルコールビールを戯れに口にしてみたところ、とても美味いと感じた。
メニューにもよるのだろうが、少なくても甘い飲み物よりはずっと食事に合う感じもして、それ以降の僕はノンアルコールビールに親しむようになったのである。
○■アルコールの害よりも妻が気にしていた、お酒を飲むことのデメリット
下戸である僕と相反し、妻はといえば非常にちゃんとした酒飲みだ。
毎晩の夕餉の際、僕がソーダストリームで作った炭酸水を清々しく飲んでいる横で、缶ビールを一本二本と美味しそうに空けていた。
だがそんな妻もここ最近、平日に飲むのはなるべくノンアルコール飲料にしているようなのだ。
ほんの少し前まで、適度の飲酒には健康促進効果があるという“酒は百薬の長”説が、世界中で根強く信じられていた。
だが最近では、アルコール中毒者のような明らかに飲み過ぎの人だけではなく、わずかな量のアルコール摂取も体にダメージを与えるという、信ぴょう性の高い研究報告が相次ぎ、酒をめぐる世界の状況が変わりつつある。
妻もそういうニュースに接し、アルコールを控えるようにしているのかと思いきや、改めて聞いてみると主な理由は別のところにあった。
アルコールの害についてももちろん頭の片隅にはあるが、それよりはどちらかというと、ダイエットのためにノンアルコールを選んでいるというのだ。
お酒のことについて疎い僕は、「そうなの?」と不思議に思わずにはいられなかった。
アルコール自体にカロリーがあるということが、どうもピンとこないのである。
そこで調べてみると、お酒に含まれる純アルコール(エタノール)には、1グラムあたり7.1キロカロリーものエネルギーがあるということが分かった。
だけどアルコールに含まれるエネルギーは、代謝によってすぐ放出されるから、体に蓄積されにくい=太らないという「エンプティーカロリー説」というのがあって、太めの酒好きが飲むための言い訳というか論拠のようなものになっていたそうだ。
ところが一方で、アルコールから摂取したエネルギーは確かに早く消費されるけど、その分、体内に蓄積されているその他のカロリーの消費が後回しにされるので、結果としては肥満の原因になるという説も強い。
いずれにしてもやっぱり体重が気になる人は、アルコールの摂取を控えるに越したことがないようだ。
我が家にある普通のビールとノンアルコールビール『ヴェリタスブロイ』の栄養成分表示を比較してみると、普通のビール100mlあたりのエネルギーは42キロカロリーであるのに対し、『ヴェリタスブロイ』は11キロカロリーとかなり少ないことがわかる。
僕はもともとお酒を飲まないのだから、アルコールに含まれるカロリーについて気にしてもしょうがないのだが、僕と同様に体重が気になり、かつお酒が好きな人にとっては、ここは重視した方がいいポイントなのかもしれない。
つまりまあそんなこんなで、妻が買い置きして冷蔵庫で冷やしていたノンアルコールビール『ヴェリタスブロイ』に、僕は偶然出逢ったのだが、今やすっかりお気に入りで、毎日飲んでいる次第なのである。
○■ノンアル市場の活性化と、ノンアルコールビールを飲む際に気をつけたいこと
昨今、国内外のさまざまな酒造メーカーがノンアルコール商品に力を入れ、実際に需要も大きく増加しているようだ。
コロナ禍に伴うリモートワークの普及により、自宅でアルコールに溺れる人の増加が懸念され、実際に一部ではそのような現象も見られたようだ。
だがその一方で、コロナによって以前よりも自身の体の状態を意識する人が多くなったことが、ノンアルコール市場の活況につながったと見られている。
これを商機と見たビール大手が、相次いでノンアルコールの新商品を続々投入し、市場の成長を後押しした。
人々がノンアルコール飲料を望むようになった要因は、コロナ以外にもさまざまあることが指摘されていて、前述のようにアルコール害についての新たな見解が広まったことや、ライフスタイルが多様化して若者を中心に「アルコール離れ」が浸透したことも、その背景にあると言われている。
ところで、ノンアルコールビールは良い点ばかりが注目されがちだが、リスクやデメリットもあることを忘れてはならない。
特によく言われている一般的なノンアルコールビールのデメリットは、人工添加物が多分に含まれていること。
そのため、過剰摂取は健康への悪影響につながるということが指摘されている。
特にカラメル色素や人工甘味料、苦味料などの人工添加物が腸内環境を悪化させ、糖尿病や心血管疾患、脳卒中のリスクを増加させる可能性があると言われているようだ。
我が家のお酒大臣である妻が『ヴェリタスブロイ』に目をつけたのは、実はこの点にあるらしい。
人工添加物をいっさい使わず、100%原料由来の天然成分で構成される『ヴェリタスブロイ』ならば、そうしたリスクがある程度は回避されるので、毎日のように飲んでも問題は起きにくいと考えているのだ。
『ヴェリタスブロイ』の缶の裏側には、「“自然派”宣言! 脱アルコールプレミアムピルス」という印字がある。
エネルギー量が、ノンアルコールビールの中で最低の11キロカロリー/100mlであることも強調されている。
また1缶に非常にたくさんのビタミン、ミネラル、アミノ酸といった健康機能性栄養素が含有されているということで、ビタミンB3(ナイアシン)、パントテン酸、カリウム、カルシウム、マグネシウム、ビオチン、イソロイシン、ロイシン、リジンなどなどなど、計19種類の栄養素名が列挙されている。
そうした健康機能性について追求すると話がどんどんややこしくなるので脇に置いておき、美味しさという点だけで考えても『ヴェリタスブロイ』はマジでおすすめ。
当初は酒飲みの晩酌と同様に、毎晩の食事どきに開けるだけだったが、最近は喉が渇いて冷たいものをゴクゴク飲みたいと思ったとき、いつでもまず『ヴェリタスブロイ』に手が伸びるようになってしまった。
下戸であるこの僕が、ノンアルコールビール好きになるなんて。
まったく人生とはわからぬものである。
文・写真/佐藤誠二朗
佐藤誠二朗 さとうせいじろう 編集者/ライター、コラムニスト。1969年東京生まれ。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わり、2000~2009年は「smart」編集長。カルチャー、ファッションを中心にしながら、アウトドア、デュアルライフ、時事、エンタメ、旅行、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動中。著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』(集英社 2018)、『日本懐かしスニーカー大全』(辰巳出版 2020)、『オフィシャル・サブカルオヤジ・ハンドブック』(集英社 2021)。ほか編著書多数。新刊『山の家のスローバラード 東京山中湖 行ったり来たりのデュアルライフ』発売。
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