〈新宿ホストクラブ“初回無料合戦”勃発!〉なかにはAmazonギフト券をプレゼントする店も…客層の変化に常連客は「小汚い格好の女が増えてめっちゃ迷惑です」

昨夏ごろから世間の注目を集め、社会問題にまで発展したホストクラブの売掛問題。2024年に入っても、売掛金回収のために売春をさせようとしたホストの逮捕や、ホストクラブの摘発といったニュースが相次いでいる。その一方で、歌舞伎町では客層拡大のために初回無料キャンペーンを打ち出す店舗が増えているという。今、ホストクラブ界に何が起こっているのか。関係者に聞いた。
歌舞伎町のホストクラブ2店舗とメンズコンセプトカフェ1店舗が、法令違反があったとして、1月29日までに東京都公安委員会より営業停止処分を受けた。社会部記者は言う。「行政処分が下された3店舗のうち、ホストクラブの1店舗と系列のメンコンは去年3月、未成年の少女を立ち入らせたとして、残る1店舗は去年8月、女性客に『飲まないと帰れない』と言って引き留めたうえ、近くのATMで現金85万円を引き出させて支払わせたようです。この行為がぼったくり防止条例に違反するとみて、東京都公安委員会は行政処分を実施しました。ホストクラブに都のぼったくり条例を適用し、行政処分を行うのは初めてです。また、今月24日には元ホストの男が女性客に『大久保公園に立って体を売って支払え』と言って、売掛金を回収したとして売春強要容疑で逮捕されました。今後、このような悪質なホストやホストクラブへの取り締まりは強まると言われています」
特にホストクラブ専門キャッチをターゲットとした取り締まりを強化しているようだ。創業27年目の歌舞伎町のホストクラブ「Club ROMANCE」人事統括のGO氏は言う。「昨年12月から私服警官が外販(がいはん。ホストクラブ専門の客引き)を毎日のように逮捕しています。また、ホストクラブも外販が連れてくる客を受け付けなくなったため、彼らは街から激減しました。大手ではないホストクラブは外販が連れてくる女性客が多くを占める店舗もあったんですけどね。外販がいなくなって新規客が減ってしまったので、その対策として“初回無料”をうたうお店が増えているのです」
通常、ホストクラブの初回料金は1時間2000~3000円程度。以前から初回無料を打ち出す店舗は少なくなかったが、昨今はこれが歌舞伎町ホスト界隈のひとつのトレンドになっている。GO氏も「ひとつの集客手段が使えなくなった今、SNSで積極的に呼びかけていて、当店では初回無料だけでなく、『お連れ様90分無料』『タクシー代負担』といったキャンペーンもして新規客獲得に力を入れています」と話す。別の大手ホストグループ店の関係者は、「昨年の悪質ホスト関連のニュースでイメージがかなりダウンしたので、入店特典をいろいろつけて各店舗でサービス合戦をしている状況です」と話す。「入店時に初回無料だけじゃなく、Amazonギフト券をプレゼントする店舗もあるくらいです。さすがに有名店や人気店は初回無料はやりませんが、ポータルサイトからの電話予約でドリンク〇杯無料みたいなサービスをやっているところもありますね」
しかし、このキャンペーン合戦がホストクラブの客層を変えているという。「これまでメン地下(メンズ地下アイドル)などにハマっていた未成年の子たちが20歳になって、次なる推しを探しにホストクラブに押し寄せています。彼女たちにとって、初回無料はいくつもの店を無料で回れるので都合がいいのでしょう」(前出、大手ホストグループ店の関係者)実際に初回無料をきっかけにホストに行くようになったという23歳のコンセプトカフェ店員の女性は言う。「昨年末に『今日、初回無料で飲めるところを探してます』とTwitter(X)に書き込んだら『うちのお店はどうですか』と外販がなくなって必死になってるホストたちが群がってきたんです。それがおもしろくて数店舗行ってみたのですが、まだ推しは見つけてません。もうちょっと様子を見ます」
初回無料を押し出して営業メッセージを送ってくる歌舞伎町のホストたち
また、「初回無料は友達をホストクラブに誘いやすい」と話すのは、月1回ほどホストクラブに通う24歳のOLだ。「ホストに興味がある友達を連れていくなら初回無料は便利です。だって自分が通うお店に連れてって、もし本指(担当ホスト)がかぶったら揉めちゃうじゃないですか。かといって通ってるお店以外でお金を使うのはもったいないし、初回無料の他店なら本指以外にお金を使う後ろめたさもありませんからね」しかし、初回無料にして客層を広げるということは、本来、ホストクラブへ通える経済力がない女性も招き入れることになる。以前よりホストクラブに通う25歳のコンセプトカフェ店員は、この現状に不満を隠さない。
Amazonギフト券プレゼントキャンペーンをするホストクラブも
「初回無料やAmazonギフト券を配るキャンペーンのせいで、お店に小汚い格好の女が増えてめっちゃ迷惑です。しかも、そいつらで席が埋まってることもあったりするから、この前、担当に文句を言いました」ホストクラブも生き残りに必死なのかもしれないが、初回無料に釣られて“沼った”新たなホス狂が、再び社会問題の火種にならないことを願いたい。
取材・文/河合桃子集英社オンライン編集部ニュース班