女流プロ常駐の人気店が賭けマージャンで摘発されたワケ 歌舞伎町で11年間9億円荒稼ぎ

お上や同業者の怒りを買ったようだ。客にマージャン賭博をさせたとして、警視庁保安課は5日、賭博開帳図利と同幇助の疑いで東京・歌舞伎町の「麻雀ブル」経営者の男(53)ら5人と、賭博疑いで50代と70代の男性客2人を書類送検した。店ではフリーの客同士で賭けマージャンが行われ、人数が足りないときには従業員が参加していた。
ブルでは2012年の開店当初から店ぐるみで客に賭けマージャンをさせ、11年あまりで約9億円を売り上げたとみられる。店は客から賭場代として、手数料を得ていた。経営者は「現金を賭けたマージャンでないと集客につながらないと考えていた」と話しているという。
■競技化の流れに逆行して暴利
新型コロナ禍の20年ごろから「賭博をしている」といった通報が増加したため、警視庁は21年以降、都内のマージャン店6店を摘発。店舗経営者らの業界団体「都麻雀業協同組合」は講習会を開いて賭博の防止を呼びかけていた。マージャン=賭博といったマイナスイメージを払拭させるため、ナショナルプロリーグ「Mリーグ」を立ち上げるなど、業界を挙げて改革に取り組んでいる。<お酒を飲まない><たばこを吸わない><お金を賭けない>といった「健康マージャン」を楽しんでいる高齢者も多い。
「ブルでは1000点を100円に換算する『点ピン』のレートで賭博をさせ、客に交じってマージャンを打つ『打ち子』と呼ばれる従業員もいた。点数が加算される『青ドラ』を貸し出し、女流プロが常駐。来店した女流プロの写真集を置き、客にアピールをしていた。従業員のひとりは『客にポーチを渡してお金を見えないようにしていた』と話し、金銭のやりとりがバレないよう対策を取っていたが、マージャン卓の上に堂々と現ナマが置いてあることもあった。しかも書類送検された経営者は業界団体の講習会にも参加していた。警察と業界団体が健全化を図ろうとしているのに、真逆のことをやって荒稼ぎしていた。警察と同業他社の反感を買ったのです」(捜査事情通)
同業者からの「チクリ」で摘発され、今月2日、自主廃業に追い込まれた。店の看板には<女流プロ来店の店><ルール・マナーの良い店>と書かれていた。
警視庁は引き続き、都内のマージャン店の行政指導や立ち入りを行うなど、実態把握を進めるというから、いずれ賭けマージャンができなくなるかもしれない。