闇バイト連続強盗の黒幕はマニラ在住? 指示役が資産家の多額な「現ナマ情報」を知る理由

「家に2つの金庫、1億円以上の大金がある」
昨年11月、山口県岩国市で起きた強盗未遂事件。100万円の闇バイトで犯行に加わった渡辺翼被告(26)は、実行役に被害者宅の写真を見せられ、こう説明された。「金庫の番号が分からなかったら、カッターで脅して聞け」と、指示まであった。
翌12月には東京・中野区で不動産業を営む男性(49)宅に宅配業者を装った7人組のグループが押し入り、クローゼットから3000万円を奪う事件が起きた。21日、事件に関わったとして元建設作業員の永田陸人容疑者(21)が逮捕。永田容疑者は東京・狛江市の大塩衣与さん(90)殺害事件で運転手をしていた。
犯行グループは現金のありかを聞き出すため、大塩さんが1人でいる時間帯に侵入。殴る蹴るの暴行を加えて殺害し、家中を物色したが、現金を見つけられず、フランク・ミュラーなど、高級腕時計3本を奪って逃走した。大塩さんが監禁、殺害された自宅地下1階は、息子が経営する不動産会社の事務所になっていた。
闇バイトの実行役に宅配業者を装わせたり、犯行手段を伝えていたのが、「ルフィ」と呼ばれる黒幕で、フィリピン・マニラから犯行を命じているという情報もある。なぜ現場から遠く離れたところにいながら、多額の現金がある家や保管場所を把握しているのか。
「仮想通貨や闇金融、金塊売買、不動産取引など、表には出ない取引情報を裏社会から入手している可能性がある。現金で大口取引を行い、何らかの事情で金融機関には預けられず、自宅で保管する。あるいは支払いが現金でなければならず、自宅に多額の金を用意しているなど、闇社会に精通していなければ知りえない情報を持っているのです」(捜査事情通)

こういった情報は「資産家リスト」や特殊詐欺の「被害者リスト」には載っていない。
「例えば金塊取引などでは第三者が取引情報を入手するケースがあり、それをもとに第三者が売り手もしくは、買い手から多額の現金や金塊を奪う事件が起きています。そんな場合でも闇バイトが実行役なら、指示役の素性が割れることもありません。やりとりも匿名性の高いテレグラムのため、足もつきにくい。失敗したとしても、また別の実行部隊を使えばいい。指示役、黒幕にとっては一石二鳥なのです」(捜査事情通)
■どこから個人情報が漏れてもおかしくない
誰でも時計や金を「高価買い取り業者」に売り、多額の現金を手にすることはある。いつ個人情報が闇社会に漏れても不思議ではない。