「手書き」は脳の学習と記憶を向上 実験で明らかになった脳の活動パターン

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ノルウェーの研究者が大学生の脳の活動を記録した結果、「手書き」は学習と記憶を向上させる可能性があることがわかったという。『NBC NEWS』がレポートした。

Norwegian University of Science and Technology(ノルウェー科学技術大学:以下NTNU)の発達神経科学研究室が、36人の大学生を対象に脳の活動に関する実験を実施した。
参加者はセンサーキャップを着用し、「手書き」と「タイプライティング」の動作中に関与する脳神経のネットワークについて、データが収集されたという。
15ドル(約2,200円)の映画券を報酬として現役大学生に参加を募り、相互作用の影響を避けるため、あえて右利きの参加者のみが選出されたそうだ。

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実験では、画面に現れた単語を25秒以内にタッチスクリーン上のデジタルペンで表記、あるいはキーボードを使ってタイピングするというタスクが実施された。
単語は「forest(森)」や「hedgehog(ハリネズミ)」などの関連性のないものが全部で30個表示され、「手書き」か「タイピング」のどちらで表記するのかという指示も出される。
実験中は、参加者の頭にある256個のセンサーにより発信される電波を収集。これにより、脳細胞が活動しているエリアや脳の各部分がどのように相互通信しているかなど、脳の活動パターンを分析することができるという。

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実験結果では、「手書き」は脳の視覚、感覚、および運動の皮質間で、コミュニケーションを必要としていることがわかったという。
「手書き」では文字によって書き順が異なり、動きのパターンが必要になってくる。そのため脳が活性化され、学習や記憶力の向上も期待できると結果づけている。
一方で、デジタルペンを使用する際、人は文字を視覚化して単一認識しているため、視覚と運動の皮質での脳活動が少ないことがわかったそうだ。
同研究から、「手書き」は高齢者の認知的利点を実感できる可能性があるとも示唆されている。さらに脳がまだ発達途中の幼少時期に総合的な学習プロセスを実施することで、最大の効果を得られるのではないかと予測している。