お茶にしたら「生臭さがちょっと残って…」 料理を飾る「つま菊」をクラフトビールに 添え物から「味の主役」への挑戦

刺し身につきものの小さな菊「つま菊」。愛知は国内有数の産地ですが、実は今、売り上げ減少の厳しい状況に直面しています。新たな販路の開拓を目指す、地元の取り組みに密着しました。
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今から90年前の1934年に開業した「蒲郡クラシックホテル」。歴史と伝統に加えて、売りなのが料理です。
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(蒲郡クラシックホテル 波多野忠明 総料理長)「こちらはメインのお肉料理になります。トリュフと『つま菊』とアーモンドを使ったお料理です。」料理を飾る役割のつま菊は、地元の蒲郡市を中心とする東三河が国内最大の産地。
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(三河温室園芸組合 大竹一郎さん:2023年12月取材)「皆さんご苦労さまです。これで年末になるので、いっぱい出荷して稼いでください」つま菊の生産農家の大竹一郎さん。コロナ禍では飲食店の休業が長く続き、つま菊の需要が激減。
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加えて和食離れや、ホテルでもバイキング形式の食事が増えるなど、生活様式の変化でつま菊の出番が減っているため、この先に危機感を抱いています。(三河温室園芸組合 大竹一郎さん)「飽きられたというか、確かにコロナでも需要が落ちたけれど。コロナ前から徐々に需要が落ちてきている。10年くらい前から」
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大竹さんは今までの単なる添え物ではなく、うどん、お茶など試行錯誤をしましたが…。(三河温室園芸組合 大竹一郎さん)「(つま菊のお茶は)自分も飲んだけれど、乾燥していると生臭さがちょっと残って…」どれも今一つ。
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そんな中、地場産業でもあるつま菊を救おうと、蒲郡市や地元の信用金庫などもバックアップして、あるプロジェクトが始まったのです。(蒲郡市 鈴木寿明 市長)「普段は『脇役』として引き立てる役の『つま菊』が、この度は『主役』となってクラフトビールの原料になる」
菊独特の香りや苦みをいかした、新しいクラフトビール。東京のメーカーとタイアップして、ビールづくりが始まりました。
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ビールの元になる麦汁(ばくじゅう)の釜に、大量のつま菊を投入。2か月の醸造で菊の風味がビールに合わさります。そして、もう一つ大切なのが商品名とラベル。担当したのは学生時代にデザインを学んだ地元商工会議所の水野さん。
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(蒲郡商工会議所 水野祐利さん)「満天の星空をイメージしたデザインになっています。つま菊が力強く育っているシーンを、何度も思い浮かべてデザインしました。とても完成が楽しみです」そして、できあがったビールの完成披露会。
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小さな丸いつま菊を、満天の星に見立てたその名も…。「クラフトビールの名称は『星畑(ほしばたけ)!」つま菊農家応援の旗振り役でもある市長も出席、その味は?(蒲郡市 鈴木寿明 市長)「爽やかでコクと苦味があって、菊のうまみが出ているんじゃないかな。蒲郡に『このビールあり』というふうに『星畑』がなってくれるといいなと」
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そして、あの大竹さんは。(三河温室園芸組合 大竹一郎さん)「うまい。何とか第1弾で『うまい』という声を聞いて。第2弾を頼んで、何とか蒲郡市内で販売するところを見つけて、売れるようにしていきたいです」「添え物」から「味の主役」に。地元が一体になって、つま菊を盛り立てるプロジェクトの今後に期待です。