ロシア 新たな戦略爆撃機の生産を本格化か? 開発元CEOが明言

最初の量産型Tu-160Mは間もなく引き渡しだそう。
ロシアの国営メディアであるタス通信は2024年2月21日、同国国営企業ロステックのセルゲイ・チェメゾフCEOが、超音速戦略爆撃機Tu-160の生産再開は大きな挑戦であったと明言したと報じました。
「Tu-160の生産再開は、ロステックの関連会社全員にとって大変な作業でした。(従来、アナログしかなかった)設計図面などは、厳しい納入スケジュールのなかで完全にデジタル化されました。これにより、チタン部品の真空溶接技術が復活を遂げ、機体各部の生産が再開されました。今日、私たちはあらゆる面で生産再開を本格化することができたと自負しています」とチェメゾフCEOは述べたそうです。
ロシア 新たな戦略爆撃機の生産を本格化か? 開発元CEOが明…の画像はこちら >>ロシア空軍に引き渡されたアップグレード型Tu-160M戦略爆撃機。おそらく試作機と思われる(画像:UAC)。
そもそも、Tu-160は旧ソ連が1970年代後半に開発した大型軍用機です。可変後退翼を備え超音速飛行が可能なのが特徴で、1981年12月18日に初飛行すると、ソ連邦が崩壊し経済が混乱する中でも量産が続けられ、これまでに37機(うち9機は試作機)が製造されています。
ただ、クリミア危機などで西側との緊張関係が高まったことなどで、同国のプーチン大統領が2015年に軍事力強化の一環で同機の生産再開を命じたとのこと。これにより、エンジンやアビオニクスなどを一新したTu-160Mが開発され、2022年1月12日には量産初号機が、カザン航空機工場の飛行場から飛び立ち、初飛行に成功しています。
ロシアは約50機のTu-160Mを調達する予定であり、その一方で、既存機をM型にアップグレードする計画も進められています。最初のTu-160Mは間もなく納入されるそうで、2027年までに10機が引き渡される予定だといいます。 なお、Tu-160には「ブラックジャック」という愛称が付与されていますが、これはNATO(北大西洋条約機構)のコードネームで、旧ソ連(現ロシア)では当初用いられていませんでした。