1300km/hだと!? 米国で「“超音速”で飛ぶ航空便」なぜ多発? 普通は900km/h前後…でも「安全上問題ナシ」のワケ

記録的な追い風味方に
通常、ジェット旅客機の巡航速度は、一般的に「音速」とされる約1200km/hより遅い900km/h前後とされています。たとえば、JAL(日本航空)の公式サイトでは、ボーイング767の巡航速度は862km/h、エアバスA350-900は916km/hと紹介しています。そのようななか、アメリカ発のヨーロッパ行きのフライトで、”音速超え”となる時速800マイル(約1287km/h)を上回るスピードでフライトする便が、相次いで確認されています。
1300km/hだと!? 米国で「“超音速”で飛ぶ航空便」な…の画像はこちら >>ブリティッシュ・・エアウェイズ機のイメージ(同社公式Xより)。
航空機追跡サイト「RadarBox」、ならびに「FlightAware」によると、2024年2月18日、ワシントン ダレス国際空港発ロンドン行き、ヴァージンアトランティック航空22便では高度3万3350フィート(約1万160m)において、対地速度で最高802マイル(約1291km/h)を記録。同路線を飛んでいたブリティッシュ・エアウェイズ292便では806マイル(約1297km/h)、ブリティッシュ・エアウェイズ216便では809マイル(約1301km/h)の最高速度を記録したとのことです。
「RadarBox」によると、この日これらの便が飛んだ大西洋中部上空では、265マイル(約427km/h。秒速約119m)という記録的な強さのジェット気流が吹いており、この追い風に乗った結果だとしています。
なお航空機の運航では、空を飛ぶという性質上、一般的な地面を基準とする「対地速度」ではなく、空気を基準にして表示する「対気速度」が用いられます。そのため強い風が吹いているケースでは、「対気速度」は安全な通常の巡航スピードの範囲内に収まっていても、追い風の風速が加味されるぶん、「対地速度」でみると結果として”音速”を超えてしまう現象が発生します。
※一部修正しました(2月27日11時07分)。