「約8年の刑務所生活で一番辛かったのは…」田代まさしが語る過酷な懲罰房の実態。「6回目の逮捕は…ないように今を生きてます」

3度の実刑判決を受け、計8年ほども刑務所で過ごした元タレントの田代まさし。前編では、今話題の刑務官の受刑者に対する“さん付け呼称”について意見を聞いたが、後編では服役中の辛かった思い出を聞いた。
刑務所暮らしの感想を聞くと、田代は「とにかくキツかった。1日1日の時間が長かった」と振り返った。そのなかで、もっとも辛かったのが懲罰房に入れられたことだという。懲罰房は刑務所内で規則に違反した受刑者が入る、まさに“無”が広がる空間だ。しかし、入れられた理由については、田代は未だに納得がいってないようだ。「心を入れ替えるために『般若心経』を覚えようと、経文が書かれた紙を居室の壁にご飯粒で張ってたんです。でも担当の刑務官に見つかってしまって。『ご飯粒は食べるためのモノだろうが!』って言われたから、『おとぎ話の“舌切り雀”はおばあさんの障子張り替え用のご飯粒を食べてしまったから、舌を切られてしまったんです』というと『オメー、屁理屈言ってんじゃねえぞ、コノヤロウ!』と1週間の懲罰房行きとなりました……」
インタビューに応じる田代まさし(撮影/集英社オンライン)
懲罰房は一切外に出られず、誰との会話も許されない。それどころか寝食やトイレ以外は延々と正座かあぐらをし続けなくてはならない、心身ともに過酷な場所だ。「シーンと音のないところで、お尻も痛いなか一瞬たりとも動いたらいけないんですからキツイですよ。見回りがいない隙に足を崩したり軽く腰のストレッチをしたりはしますが、孤独だし、気が狂わないようにひたすら自分自身と戦う時間が続きます。そこに1~2日ならまだしも1週間ですからね。気が遠くなる時間でした」
二度とそんな生活に戻るまいと、田代は現在、完全なる薬断ちへ向けて、日々、奮闘している。「今でも目の前に(薬を)出されたら抑制できるかわからないし、日常生活の中にだって、またやりたくなるトリガーはあちこちにあるんですよ……。僕は覚せい剤をボルヴィックの水で溶かしてたから、ボルヴィックを見るとフラッシュバックしちゃう。だからコンビニに入っても見ないように注意してます」今は週1回のペースでダルク(薬物依存症のリハビリ施設)のミーティングに通っている。「薬を断つ特効薬はないですからね。ダルクの教えは『今日1日やめる』を繰り返すこと。仮に薬をやりたい気持ちが芽生えてしまったら、その気持ちを吐きだし続けるしかないんです。だからダルクには生涯通うことになると思います」
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気を紛らわすには仕事が一番だという。「音楽の仕事も再開したし、ヒロポン酢というポン酢のネットCMにも出させてもらった。フリーディレクターの三谷(三四郎)さんのYouTubeチャンネル『街録チャンネル』にも呼ばれたりと、ありがたいことに仕事は増えてるんですよ。それに薬物に関する講演にもオファーがあれば必ず出るというくらいライフワークになっていて、いただいたお金は全額、ダルクに寄付しています。こういう日々を繰り返すことが、僕にとって薬断ちへの道なんだと思います」今後の目標を聞いてみると、こう答えた。「目標は立てないように、考えないようにしたの。あれもこれも、ってなると欲が出て薬に手を出すことになるからね。今日1日、薬を断てればそれでいい。この気持ちを死ぬまで持ち続けて生きていきたいね」最後に「6度目の逮捕はないですよね?」と聞いてみると、「もちろん、ないように、今を生きています」そう言って、田代は東京駅の雑踏へと消えていった。
(撮影/集英社オンライン)
取材・文/河合桃子集英社オンライン編集部ニュース班