ロシアのウクライナ侵攻から2年。戦争が長期化する中、鎌ケ谷市に母子3人で避難し、市の会計年度職員として働くオルガ・ナセドキナさん(34)が28日、市内の中央公民館で報告会を開いた。「当初は訪問者のような感じだったが、今は住み続けたい意識に変わった」と心情の変化を語り、長期滞在を見据えて本格的に日本語を学ぶ意欲を表明。日本のウクライナ支援に感謝しつつ「さらに支援を」と呼びかけた。
2022年10月に同市に避難したナセドキナさんは、市の広報誌のコラム執筆や多文化交流イベントでの講演、小学校低学年の英語指導助手などを担当。小学1年の長男(7)、保育園児の次男(4)と暮らす。ウクライナに住む両親の安否確認は欠かさず、心の休まらない毎日が続く。
報告会では、戦争がいつ終わるか見通せない現状を受け、避難民の6割以上が日本での長期滞在を希望する日本財団のアンケート結果を紹介。一方で「日本は平和で安全だが、言葉が通じず友人ができないストレスを感じる」との石川県に避難するウクライナ人女性の声を自身がインタビューした映像で伝え、「コミュニケーション不足の悩みは自分にもある」と述べた。
日本での長期滞在を見据え、新たに導入された「補完的保護対象者」というより安定した5年有効の在留資格を最近取得したと説明。10月から日本政府が用意した6カ月間の日本語学習集中プログラムを受講する。「息子2人の方が自分より日本語の上達が早い」と笑わせた。
日本のウクライナ支援に感謝しながら「戦争はいつ終わるかわからない。皆さんの支援が必要だ」と訴えた。報告会後の取材に、ナセドキナさんは「(戦況が許せば)夏に一時帰国し両親の無事を直接確認したい」と家族への思いを口にした。