「見なければ、塩味の効いたエビですね」 食用コオロギの生産工場に潜入 1か月で成長、たんぱく質の割合は肉の3倍 食糧難の救世主となるのか【大石が聞く】

何かと話題の昆虫食。国も新たなタンパク源として注目する中、岐阜県にある生産工場ができました。いったいどんなところなのか。カメラ初潜入です。
(大石アンカーマン)(食べて)「うん、食感はサクサク」「これは見なければエビですね。塩味のきいたエビ」
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2月13日に訪れたのは、岐阜県輪之内町にある工場。「ハイジェントテクノロジー」は自動車や半導体業界向けの電子部品を作るメーカーですが、この工場で生産しているのは…
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(ハイジェントテクノロジー 根岸茂美さん)「食べる昆虫。食用コオロギです」(大石アンカーマン)「“コオロギ食”って注目を集めてましたけど、ここでコオロギを生産しているわけですか」
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中へ入っていくと音が。(大石アンカーマン)「聞こえる?コオロギの声だ」「あ、いました!このケースの中にコオロギがたくさんいる!」
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透明なケースの中に大量のコオロギが!(ハイジェントテクノロジー 根岸茂美さん)「卵から成虫になるまでをずっとここで育てています」
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この工場で飼育されているのは「フタホシコオロギ」。沖縄や東南アジアなど暖かい地域で見られる品種で、約1か月で成虫になります。
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(大石アンカーマン)「ああ、痛い!今かまれました…」(ハイジェントテクノロジー 根岸茂美さん)「たまに食べ物と間違えてかむことがある」
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(大石アンカーマン)「部品工場で培ったノウハウが生産に活きている?」(ハイジェントテクノロジー 根岸茂美さん)「品質管理や安全管理はかなり役に立っている」
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えさや水やりもデータをとって、徹底的に管理しています。
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(大石アンカーマン)「コオロギがこの機械の中に入っていきました。そしてここで粉々になってますね。コオロギパウダーが落ちてきました」
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(ハイジェントテクノロジー 根岸茂美さん)「この装置が細かいところまで粒度を調整することができて、一番細かいところだと15ミクロン。舌の上にのせてもざらつきがないくらいまで調整して粉砕することができる」
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乾燥させた後、粉末にするのが、食品化の主な方法。それを生地に練り込んだかりんとうのお味は…(大石アンカーマン)「かりんとうですね。コオロギは見当たらない」
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更にパスタも。(大石アンカーマン)「もちもちした食感で、これはカルボナーラですね。コオロギいますか?この中に」(ハイジェントテクノロジー 根岸茂美さん)「いるんです。少しいます」
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エビやカニなど甲殻類へのアレルギーがある人は、コオロギでも反応が出る可能性があり、パッケージにも書かれてあります。
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成虫になる前の羽ができていないコオロギを丸ごと殺菌・乾燥させた「ホール」と呼ばれるものも出荷しています。
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(大石アンカーマン)「コオロギを実食させていただきます、これですか」(ハイジェントテクノロジー 根岸茂美さん)「これがうちで育てたコオロギ」
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(大石アンカーマン)「コオロギは食品として見たことないからな…いただきます。。おー、ちょっと塩味きいてて」(ハイジェントテクノロジー 根岸茂美さん)「何も味付けをしていない」(大石アンカーマン)「エビに近いですね、味は」
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コオロギ食が注目されたキーワードは、来たる「食糧難」。2050年には世界人口が100億人を突破し、深刻な食糧難が予想されるため、国連食糧農業機関・FAOが、肉や魚に代わる「新たなタンパク源」として推奨したのです。
(ハイジェントテクノロジー 根岸茂美さん)「普通の牛肉や鶏肉だと(タンパク質の割合は)15~20%ですが、コオロギをパウダーにすると70%以上ですので、3倍以上のタンパク質」
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同じ重量で比べると、肉の3倍以上のタンパク質があるコオロギ。畜産や養鶏に比べ広い場所も大量のエサも必要ないため、生産コストが安く抑えられるといい、国も持続可能な食糧自給として本格的に推進しようとしています。
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しかし、そんな政策に異を唱える東京大学の鈴木教授は。(東京大学 農学生命科学研究科 鈴木宣弘 教授)「論理のすり替え、飛躍だと思う。農業・酪農・畜産が世界中でコスト高で苦しんでいる。まず今ある普通の農業・酪農・畜産がさらに生産を増やせるような政策をすることが第一であって、(食料が足りないから)コオロギを食べればいいんじゃないかというのは、話が飛んでしまっているんじゃないか」
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この工場で作られたコオロギ食品を、高タンパクの「スーパーフード」として売り込む営業担当は…
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(営業担当 直原杏実さん)「最初は絶対に食べられないと思ったんですが、(工場見学で)こういう風に作っていると見てから、食べてみようかという気持ちになって、食べてみたら全然大丈夫だと思って、そこから食べられるようになった」
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(大石アンカーマン)「だいぶ抵抗感はなくなってきてる?」(営業担当 直原杏実さん)「全くないです」(大石アンカーマン)「全く!? いやいや、でもあれ見たらうわって思いません?」(営業担当 直原杏実さん)「いや、かわいいなって」
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(コオロギ生産 責任者 硯見 隆幸さん)「まだ2,3年目の業態になりますので、それがこれからどのように皆さまに受け入れていただくかがいまの課題。必ず来るであろう食糧難に、タンパク源としての食用コオロギは、非常に長い目で見たときに有益になるのでは」
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果たして昆虫食が当たり前になる日は来るのか。深刻化する食糧難も心配です。
2024年2月15日放送 CBCテレビ「チャント!」より