東日本大震災の“成功例”を能登へ 早期復興につなげる「東松島方式」

東日本大震災から13年が経過する中、復興へのノウハウを生かすべく、今年元日に発生した能登半島地震への助言や協力を行う自治体がある。宮城・東松島市は、1日に廃棄物に詳しい専門家4人を能登地方に派遣。東日本大震災で早期復興に結びつけた「東松島方式」について、現地でレクチャーした。また、震災後のまちづくり計画を担当した同市職員の石垣亨さんも、現地で復興への道筋を伝えている。(樋口 智城)
震災直後の混乱の中でもごみの分別を厳しくし、早期復興につなげた「東松島方式」。その“成功例”を生かそうと、東松島市の職員が能登に向かった。
「東松島方式」は、被災者に震災ごみの分別リサイクルをお願いし、津波で発生した混合ごみも仮置き場でがれきと土砂に分ける方式。作業員には住民を日当8000円で雇用した。高いリサイクル率を達成して処理費を安くした上に、住民延べ800人の雇用を創出。ごみ処理が一段落した後は、作業員の仕事を斡旋(あっせん)するハローワークも開業し、震災直後で収入源がない住民の助けになった。
能登半島地震では、災害廃棄物の推計量は200万トン以上ともされる。東松島市の奥田和朗防災課長によると「東松島では震災がれきは110万トンで、再利用率は97%。2013年末に処理を終えました」という。「能登とは被災状況も違いますし、広い処理場が取れるかなどの条件も違う。あくまで提案するだけですが、復興の一助になればいいと思っています」と話した。
一方、同市職員の石垣亨さんは2月12日に石川県輪島市で開催された、復興を考える民間団体主催の座談会に参加。東日本大震災直後から6年間、復興政策課でまちづくり計画に携わり、発生から5年で住民の高台移転を完了させた経験を伝えた。
座談会には被災住民ら約30人が集まったほか、県内6市町の小学校体育館などへも中継された。オンライン視聴も含めた計2000人ほどの参加者に石垣さんは「震災4か月後の6月に市としての方針を立て、8月には住民との話し合いを行いました」などと説明。「行政としては、早く復興スケジュールを立てて、住民に分かりやすく説明していくことが大事。逆に市民の方々は行政を信じてほしい。相互の信頼関係があれば、早期復興の決め手になる」と力説した。