静岡県の川勝平太知事 失言翌日いきなり辞職表明「職業差別をしたと取られると思わない」と主張も

静岡県の川勝平太知事(75)が1日に行われた県庁入庁式での訓示で「県庁はシンクタンク。野菜を売ったり、牛の世話をしたり、モノを作ったりとかと違い、皆さまは頭脳、知性の高い人たち」と発言したことが2日、分かった。批判を受けこの日の夕方、取材に対応。「6月の議会をもってこの職を辞そうと思う」と電撃辞職の意向を表明した。
川勝氏は1日、新規採用職員を前に約20分訓示。危機管理や心構えについて「うそ偽りを言わないこと、言葉遣いが大切」などと述べた後、一連の発言を行ったという。2日に発言の意図を聞かれると「それぞれ仕事は大切なもの。職業差別はありません。職種が違うという趣旨だった」と説明。「県庁職員として入庁した方への歓迎の言葉が、なにか問題発言があったかのごとき状況になって本当に驚いている」とし、発言そのものは「不適切ではないと思う」と開き直った。
「報道のせい」 県民から苦情の声があがっていることについて「もし不愉快な思いをされた方がいらっしゃれば真に申し訳なく思っている」と謝罪しつつ「全体の流れをご覧いただければ職業差別をしたと取られると思わない」と主張。メディアによる切り抜きによるものと責任転嫁し「報道のせい」「誤解、曲解も甚だしい」と怒りをあらわにした。
今後について問われると「こういう風潮がびまんしていることに憂いを持っている」としながら「6月の議会をもってこの職を辞そうと思っています。以上」といきなり言い放ち、記者たちの質問から逃げるように会見場を去って行った。
川勝氏は就任以来、物議を醸す発言を繰り返している。2021年6月には自身が学長を務めた静岡文化芸術大の女子学生について「11倍の倍率を通ってきたのでみんなきれい」「顔のきれいな子はあまり賢いことを言わないと、何となくきれいになる」などと発言。さらに同年10月には同県御殿場市を「(特産は)コシヒカリしかない」とやゆし、県議会から辞職勧告決議を受けた。今年3月にも県内地域の文化水準を比べるような発言をして県議会で苦言を呈されていた。
◆川勝 平太(かわかつ・へいた)1948年8月16日、京都府出身。75歳。72年、早大第一政治経済学部経済学科卒。75年、同大大学院経済学研究科修士課程修了。85年、オックスフォード大学博士号取得。90年、早大政治経済学部教授。09年、静岡県知事初当選。21年7月、同県知事4期目。趣味は花をめでること。
〇…川勝氏に対しては、JR東海が3月29日に表明したリニア中央新幹線品川―名古屋間の2027年開業断念を巡っても批判が集まっていた。国家事業である同新幹線の工期延期の理由は、環境への影響を懸念する川勝氏の反対で静岡工区の着工が遅れているため。開業は早くても34年以降の見通しとなっていた。実業家の堀江貴文氏はYouTubeで「静岡県知事のおかげですべて台無し。静岡県がもうからないという話じゃなく、日本の国益の話なんです」と怒りをあらわにしていたが、川勝氏の辞意表明により工事が動き出す可能性も出てきた。