エベレスト登山でGPSトラッカーや排泄袋携帯が義務化 人と環境を守る新ルール

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ヒマラヤ山脈にあるエベレストで、登山者に新しいルールが義務付けられることが分った。ネパール当局は、遭難防止のためのGPSトラッカーや環境保全のための排泄袋の携帯を、登山者に徹底していくという。『The Independent』が報じている。

ネパール当局の発表によると、エベレストでは昨年だけで18人が死亡し、5人の遺体がいまだ回収されていないという。このような事態を受け、登山者にGPSトラッカーの携帯を命じた。
電源を必要としない小さな受信型のタイプを、ジャケットに縫い付けるよう指導している。このタイプは、20ヤード(約18メートル)の積雪の上からでも感知できるため、検出器を使って上空から追跡が可能になるという。
またトラッキング会社により支給され、登山者が下山する際に回収されることになっている。過去にも追跡用のトラッカーは使用されていたが、この度はシンプルで耐久性を重視したデバイスを導入することになったようだ。

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またエベレストでは、登山道に放置される排泄物の堆積も問題になっている。そのためネパール当局は、登頂後は自身の排泄物を袋に入れてキャンプに持ち帰ることを義務化した。
昨年、ヒマラヤ山脈にあるサガルマータ国立公園には6万人が観光に訪れており、そのうち600人が登山者なのだという。ところが、こうした登山者による空き缶やボトル、ガスボンベに登山用器具といった廃棄ゴミの放置が、自然環境を脅かしている。中でも、人の排泄物は極寒のエベレストでは自然分解されないため堆積し、環境汚染や健康被害をもたらしてきた。
サガルマータ公害防止委員会は、アメリカから約8,000個の排泄袋の調達を進めており、化学薬品で排泄物を固形化する専用袋を登山者に配布する予定だ。

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エベレストは近年の地球温暖化により、ヒマラヤ氷河の急速な融解が確認されているという。昨年にベースキャンプを視察したアントニオ・グテーレス国連事務総長は、記録的な氷河の融解、落石、地滑り、雪崩などといった、自然災害のリスクの増大や脅威を指摘していた。
ネパールの統合山岳開発国際センターが公開した報告書では、今後数十年から数百年で地球の気温が4℃上昇すると、ヒマラヤ山脈は氷河の最大80%を失う可能性が調査でわかっているという。
これを受け、グテーレス国連事務総長は「私たちは最前線で人々を守るために、地球の気温上昇を1.5℃に抑える行動をしなければならない」と語っている。