台湾の気象当局によると、3日午前7時58分(日本時間同8時58分)、東部沖を震源とする大きな地震があった。台湾の消防によると震源に近い花蓮で9人が死亡し、各地で計963人が負傷。花蓮の観光地付近などで計150人と連絡が取れなくなった。日本の気象庁は地震の規模をマグニチュード(M)7・7と推定。震源地は石垣島の西南西250キロの台湾付近で震源の深さは23キロ。沖縄県与那国島では震度4で、津波も観測した。
砂ぼこりを上げて崩れる山肌、巨大な石の直撃を受けたトラック、ぐらりと傾いたビル―。震源に近い花蓮は震度6強の激震に襲われた。平穏な朝の日常風景が一変し、建物の倒壊から逃れようと人々は街頭に飛び出した。複数の建物が倒壊し、東部の主要道路は通行止めに。多くの建物の外壁が崩れ落ち、道路に散乱。ガス漏れや水道管の破裂も起きた。海岸沿いの山では大規模な土砂崩れが発生し、茶色い土煙が海になだれ込んだ。山間部では落石で車やトラックが損壊した。台湾の王国材交通部長(交通相)は、花蓮や台東は「陸の孤島になっている」と指摘した。
台湾の当局は地震の規模をM7・2と発表。1999年に台湾中部で起きた地震以来の大地震という。蔡英文総統は、軍が被災地の支援を行うと明らかにした。当局は全ての原発で安全が確保されていると発表した。消防によると、有名観光地、太魯閣(タロコ)国立公園のホテルにバスで出勤する途中だった従業員ら50人と連絡が取れていないほか、鉱山で6人の連絡が途絶えた。
沖縄にも影響が出た。気象庁は同9時1分に沖縄本島、宮古島・八重山の各地方に津波警報を出し、高台への避難を呼びかける防災行政無線が各地で繰り返し鳴り響いた。那覇市によると、那覇港近くに市が設置した高さ約25メートルの「津波避難ビル」には、住民ら約850人が一時身を寄せた。市中心部の高台にある公園にも近隣住民ら数百人が避難した。津波は与那国島と宮古島で最大30センチ、石垣島で20センチを観測した。約1時間半後には注意報に切り替え、正午に解除された。
主要交通機関は一時運休や欠航を余儀なくされた。県内は春休み中で多くの観光客が訪れていたこともあり、搭乗手続きを一時停止した那覇空港では一時全ての民間機の離着陸を見合わせ、計90便以上が欠航。3階チェックインカウンター前に黒山の人だかりができた。新石垣空港や宮古空港でも一部の便が欠航した。
岸田文雄首相は台湾に対して「要請に応じて早急に支援を行う」と述べた。林芳正官房長官は台湾で日本人の被害情報はないと明らかにした。