特別国民体育大会冬季大会のアイスホッケーが2月1日、青森県八戸市で開幕する。少年男子で4年ぶりに九州ブロックを勝ち抜いた沖縄県代表は、初戦で強敵の福岡県を破ろうと意気込んでいる。勝てば2回戦の相手は国体19連覇中の北海道で、中学時代まで沖縄のメンバーと切磋琢磨(せっさたくま)した那覇市出身の大城圭太郎が所属する。大城は古蔵中から北海道栄高に進み、持ち前の向上心で16人の枠に入った。本場の3年間で培ったスキルを集大成の舞台でぶつける。
年中リンク めきめき上達 1日に難敵福岡と1回戦 中国・四国・九州でわずか3枠の狭き門を突破し、4年ぶりに冬季国体出場を決めたアイスホッケーの少年男子が、2月1日の1回戦、福岡との対戦に向け、闘志を燃やしている。福岡には九州ブロック大会で敗れており、メンバーは「先制して相手を慌てさせたい」と意気込む。
選手9人のうち6人は高校から競技を始めた。まずは滑る練習から始めたが、「通年でリンクを設置しているのは全国でも数カ所」(宮城一也監督)というエナジックスポーツワールドサザンヒルで鍛え、めきめきと上達した。
昨年12月の九州ブロック大会は福岡に1-10で敗れたが熊本には4-3で競り勝ち、中国・四国ブロック2位の愛媛との第3代表決定戦に挑んだ。
チームの柱のウィルコックス廉と海の兄弟がそれぞれ2得点を挙げると、末吉法瑠も1得点し、5-1で圧倒して、本戦出場を決めた。
守備を担う新垣龍馬は競技歴2年。「ブロック大会で福岡には第1、2ピリオドにやられたが、第3ピリオドは2点に抑えた。あの守備が序盤からできれば勝機はある」と分析した。
主将のウィルコックス廉は4年前の九州中学生選手権で優勝経験がある。当時の中心選手だった大城圭太郎は北海道に移り住み、今大会も北海道代表で出場。福岡に勝てば2回戦で対戦する。
「尊敬する選手でぜひ対戦したい。うちらは人数は少ないがチーム力は一番だと思う。全力で国体を楽しみたい」。旧友との対戦を実現するため、初戦突破を誓った。(新崎哲史)
大城、北海道で20連覇挑戦 勝てば旧友と2回戦 北海道栄高3年の大城圭太郎はキープ力やハンドリングが持ち味のライトウイング。周囲の選手をうまく使いながら攻撃を組み立てる。常に「国体優勝」が求められる地で、より高いレベルを追い求めてきたことが認められ、本場で代表の座を勝ち取った。
那覇市城岳小2年の時に沖縄サザンヒルジュニアでアイスホッケーを始め、6年生で日本代表としてカナダで世界大会を経験した。中学は琉球ウォーリアーズで九州制覇。高校から北海道に渡った。
「北海道の人はもちろん上手だが、それ以上に練習してきた」。当初はレベルの違いに戸惑いもあったが、この3年間、居残り練習やビデオ研究などを欠かさなかった。ひたすら努力を続け、最上級生となると北海道栄の副主将を任された。
小林弘典監督は「アイスホッケーが盛んでない地域の出身でも本気でやればできることを証明してくれた」とたたえる。「パックを運ぶ技術は日本人にはない感覚を持っている」とさらなる成長に期待する。
釧路市内で21日に行われた全国高校総体は初戦で、3位になった白樺学園に敗れ、北海道栄を日本一にするという目標はかなわなかった。それでも「精いっぱいやった」と悔いはない。
あとは2月1日に開幕する国体を残すだけ。沖縄出身者の誇りと北海道栄から唯一選ばれた重みを胸にプレーする。「沖縄で培ったものもあるが北海道でスキルを上げた」と成長の証しを出し切る考えだ。春からは推薦で東京の法政大に進む。高校生活の集大成となる国体での目標は日本一しかない。(溝井洋輔)