琉球古武道の動きをAIで可視化 仮想空間で海外愛好家へ指導も ゲーム感覚で学べる環境を目指す

琉球大学と実戦沖縄武道連盟琉成會、IT企業のokicom(オキコム)が、インターネット上の仮想空間「メタバース」を通じて琉球古武道が学べるサービスの開発を進めている。利用者の動きを人工知能(AI)で可視化し、技の正確さなどを定量的に採点。アバター(分身)も登場させ、モチベーションを高めながらゲーム感覚で学べる環境を目指している。(社会部・下里潤)
関連記事首里城も国際通りも!「沖縄の街並みが再現されてすごい」メタバースでバーチャル観光 | ・・・ 沖縄県内初のバーチャルイベント「OKINAWA JAPAN VIRTUAL FES」が28日~11月7日、インタ・・・www.okinawatimes.co.jp 県の琉球歴史文化コンテンツ創出支援事業の補助金を活用した。世界には1億3千万人の空手愛好家がいるとされ、多くが琉球古武道の武器術を学びたいと考えていることに着目。新型コロナの影響などで気軽に沖縄へ学びに来られない人も多いことから、インターネット空間での効率的な指導方法を模索した。
琉大の宮田龍太助教の研究室が開発を進める「運動の軌道をAIで自動解析し3Dで可視化する技術」を応用した。琉成會の與儀清斗会長ら熟練者の棒術などを動画撮影して動きを解析。デジタルデータ化して「スピード」や「姿勢」「技の正確性」などの評価基準を作り、熟練者と初心者では何が違うのか分析できるようにした。
ゲーム感覚で楽しめるよう、利用者の動画データを3Dモデル化してアバターに転換。技術の習熟度もグラフ化し、向上すればアバターも成長する仕組みにした。上下左右360度のどの角度からでもアバターが確認でき、技のどの部分に課題があるのか把握しやすいよう工夫した。
ウェブアプリの開発はオキコムが担い、将来的には商品化を目指す考えだ。
琉大の中嶋昇客員教授は「サービスの開発は始まったばかり。まずは琉成會の道場生約300人を対象に実証実験を行い、効果を検証したり課題を見つけたりして改善していきたい」と強調。「将来的には組手競技への応用も可能だ。メタバース時代のキラーコンテンツになる可能性を秘めている」と力を込めた。